(写真=菅野勝男)

 僕が新浪さんと深くつき合うようになったのは、40代の経営者を集めた「ニューウエーブの会」というグループを作り、新浪さんに会長になってもらったのがきっかけだ。スクウェア・エニックスの和田洋一社長など、僕の目から見て10~20年後に日本をリードするであろう経営者に声をかけた。グループの名前は新浪さんの名字を英訳したものだ。

 僕が2006年にソフトブレーンの経営から退いたため、グループとしての活動は2年も続かなかった。それでも当時の仲間は今も自然につながり合っていて、活動に参加していたファーストリテイリング元社長の玉塚元一さんや、USEN元副社長の加茂正治さんは現在、ローソンの経営に参画している。そういう僕自身も、2010年から同社の中国事業に関するアドバイザーを務め始めた。実ビジネスのためにグループを組織したつもりではなかったのだが、新浪さんには自然と人を引き寄せる魅力があるから仕方ない。

 新浪さんは慶応大学を卒業して三菱商事に就職している。同社で外食事業などを担当するうちに、ローソン統括担当としてコンビニ業界に乗り込んでいった。巨大商社での経歴を持つが、良くも悪くも「サラリーマン社長」とは言えない。もちろん、ローソンの株式を大量に保有しているわけではないが、まるで自身の一部のように会社のことを思っている。現在の40~50代には珍しい、強烈なオーナーシップを備えた経営者だ。

 今後、日本企業が海外に活路を求めていくためには、海外の人材や異国の商習慣を享受して成長しなければならない。日本企業にとって簡単な課題ではないが、新浪さんはいち早く外国人留学生の採用を拡大するなど、それを難なく実践しているように見える。しかし彼は決してカリスマのように振る舞うことはない。むしろ肩ひじを張らない、独特の愛嬌によって年上や外国人の社員らをうまく組織の力に変えている。

 これからの日本が生き残る道はただ1つ。成長著しいアジア経済を、国内経済と結びつけていくことだ。日本人が生きるための空間をアジアに広げながら、一方で日本にアジアの人材を取り込まなければならない。その成否が日本の未来を大きく左右する。その意味で、新浪さんの経営、そしてローソンのあり方を多くの企業人が注視している。彼はどこに向かうのか、と。そこに日本経済の進むべき道が示されているからだ。