(イラスト=今竹智)

 とにかく注文の多いレコード業界の声に、誠さんはいつも最後まで耳を傾けてくれる。知り合ったのは10年ほど前。携帯電話に音楽を丸ごと1曲配信するなんて、当時は考えられなかった。「CDが売れなくなる」「違法コピーはどうする」「音質は大丈夫か」。こうした不安を取り除いたうえで、曲の販売価格まで我々に任せてくれたのだから驚きだ。

 「着うた」「着うたフル」「LISMO(リスモ)」。どれも誠さんがいたからこそこの世に生まれたサービスだ。新しい機能を加える場合でも、決して自分たちの都合を押しつけないから、こちらもつい協力したくなる。「楽曲を配信するなら、まずKDDIから」というレコード会社も多い。誠さんはいわゆる音楽マニアではない。けれども、人々の生活に音楽をもっと浸透させたいという情熱の強さは、ひょっとすると我々以上かもしれない。