(写真=的野弘路)

 「すごい日本人だ」。彼が旧日本興業銀行在籍中に出会い、独立して楽天を立ち上げ、日本を代表するEC(電子商取引)企業に成長した現在まで、ずっと見てきた。その間、彼に対する印象は1mmも変わらない。

 「楽天市場」の根底には、社会的使命感がある。戦国大名が城下町に楽市・楽座を取り入れたように、ネット上に自由に商売ができる場所を作れば、万人にビジネスチャンスが提供される。この使命感が、彼を突き動かしている。

 楽天市場の構想を聞いた時、私は時期尚早かと不安になった。だが彼に迷いはなかった。グローバルな視野を持っていたからだろう。楽天設立当時も米ハーバード大学時代の友人に相談し、世界的視点で戦略を磨いた。だからだろう。世界進出を始めても、ビジネスモデルがどの国でも通用する。

 人の評判を気にせず、自分の信念を貫く。そんな「空気を読まない」強さを持つ半面、年長者を敬い、定期的に愛宕神社に参拝する。世界企業へ飛躍しても、彼は1mmも変わらず、「すごい日本人」であり続けるだろう。