(写真=村田和聡)

 兵庫県出身で穏やかな関西弁を操る。大言壮語はなく、売上高1兆5000億円を誇る大企業のトップとしては地味に映る。だが、取締役に就任後は逆浸透膜といった水ビジネスを育てるなど、その能力を遺憾なく発揮している。

 1973年の入社以来、工場の生産設備などの保全に関わるエンジニアリング部門を渡り歩いてきた。コスト競争力の向上は生産現場と設備技術が一体となって初めて達成できるもの。名門メーカーを陰で支えたと言っても過言ではない。生産現場を大切にする東レならではの社長だろう。

 同社は今、飛躍の時を迎えている。ボーイング787で使用されたように炭素繊維の技術は世界最高レベル。繊維事業も世界的な市場拡大の波に乗り、業績を拡大している。日覺が育てた逆浸透膜も今後の有望株だ。

 「素材には社会を変える力がある」と日覺が語るように、新素材の登場なくして、製品の革新はない。今後の社会、経済の革新は彼の舵取りにかかっている。