(写真=高木茂樹)

 「つき合いたい銀行」でメガバンクを抑えて全国トップに選ばれている大垣共立銀行。18年にわたって頭取を務める土屋嶢を抜きにして、輝かしい同行の名声はあり得なかっただろう。

 「サービス業を目指す」。彼が打ち出したこのスローガンは、単なる聞こえのいい言葉ではなかった。銀行員をコンビニエンスストアやテレビ局、ホテルに次々と出向させて、他業態の「究極のおもてなし」や「顧客目線」を体に染み込ませた。そして、銀行に戻ってきた人材たちが、あちこちの部署や支店で金融業界ではあり得なかった改革や新サービスを打ち出していく。

 だから、この銀行が業界の閉塞感を打ち破り続けるのは必然でもある。365日稼働のATMを、業界の批判を浴びながらも、日本で初めて導入した。無料コーヒーを飲みながら雑誌を立ち読みできる。シングルマザーローンなど、現代女性を応援するような商品もある。私はサービスの先端企業が集まる「ハイ・サービスミーティング」で思いがけない光景を目にした。彼が大垣共立銀行の取り組みを発表すると、会場に集まった経営者からどよめきが起きたのだ。この銀行は、サービス業を超えた。それを実現したのは、間違いなく土屋嶢の卓越した構想力である。