(写真=古立康三)

 「世界から飢餓と貧困を撲滅する」。初めて会った時、彼の抱くビジョンを聞いて正直驚いた。けれども彼が自信を持って話すことには相当の裏づけがあるに違いない。そう思わせる何かを感じた。

 脳の肺活量が極めて大きい人である。マルクスの資本論やサッカー論、クラシック音楽論、健康管理術など、彼との会話は多岐にわたり、驚くほどそれぞれに精通している。何事も突き詰めるタイプなのだろう。

 この性格は経営にも存分に発揮されている。徹底したコスト管理や食の安全管理、積極的な出店攻勢は彼の人柄そのもの。放射能問題が発生した時も直ちに被災地に飛んでいき、検査体制の整備を指示していた。

 「何ができて、何ができないのか」。精通しているからこそ速い決断が下せる。試合の状況に応じて果たすべき役割が臨機応変に変わるサッカー型経営を目指していると言うが、素早く的確に決断を下す様は、まさにそうした理想を実現している。これが著しい速さでゼンショーを急成長させ、「外食日本一」の王座に就いた原動力だろう。

 「ゼンショーは2020年に売上高8000億円へ」。現在掲げる高い目標も、きっと実現させるだろう。なぜなら彼には、「彼ならやれる」と思い込ませる強さと判断力があるのだから。