猛烈なスピードでの成長には、ソフトバンクの影がちらつく。同社はグラブに加え、世界の配車アプリ市場の開拓者であるウーバーにも出資している。ASEAN域内で激しい競争を繰り広げるグラブとウーバー。ドライバー確保や利用促進に向けた費用がかさむなかで、「共倒れ」は避けたい。

 そこで打ち出したのがウーバーのASEAN事業のグラブへの譲渡策。ウーバーにはグラブ株の27.5%の取得とダラ・コスロシャヒCEOのグラブ取締役就任で、今後の成長に見合った投資収益を得られるようにしたとされる。

 もちろん、グラブはソフトバンクの力だけを頼って事業規模を拡大させてきたわけではない。「ゲームチェンジャーとなったのがグラブペイ(GrabPay)だ」とグラブCEOのアンソニー氏は強調する。

利用者の「財布」を握る

あらゆる飲食店でオンライン決済できる

 16年12月に提供を始めたグラブペイはグラブがユーザーに提供するモバイル決済サービスだ。グラブのサービスの支払いに使うだけでなく、提携先のEC(電子商取引)サイトで商品を購入したり、QRコードをスマホで読み取れば飲食店で代金を支払ったりできる(右の写真)。

 利用者の「財布」を握る土台(プラットフォーム)を築き、その上で様々なサービスを提供するビジネスモデルは、中国のEC最大手、アリババ集団と似通う。アリババは自社のネット通販サイトの利用を促すために、独自のオンライン決済サービス「支付宝(アリペイ)」を提供。この基盤があったからこそ、中国のEC市場で圧倒的なシェアを確保し、スマホを「財布」代わりに使用するスタイルを中国に根付かせた。

 グラブは配車サービスを軸にしながら、グラブペイというモバイル決済基盤の上に多種多様なサービス提供者を呼び込むことを狙っている。様々なサービスを受けられるから利用者が集まり、その利用者を取り込もうとサービス提供者も集まる構図だ。

 グラブは利用者の「財布」を握るだけでなく、「財布」をもっと使ってもらうような仕掛け作りも急ぐ。そのツールとなるのが日本でもおなじみの「ポイント制度」だ。