米配車サービス大手のウーバーテクノロジーズから東南アジア事業を買収すると3月に発表。その名を世界に知らしめた。手掛けるのはタクシーや自家用車の配車サービスにとどまらない。シェア自転車から飲食店の宅配まで幅広い。自前の決済インフラを核に事業領域を広げる姿は中国のEC(電子商取引)最大手、アリババ集団と重なる。

日経ビジネス2018年6月11日号より転載

3月9日に自転車シェアリングのマーケットプレイスを発表。右から3番目がグラブベンチャーズのルーベン・ライ氏

 中国で爆発的に広がったスマートフォン(スマホ)を利用した自転車シェアリングサービスが、東南アジア諸国連合(ASEAN)市場に侵食する。この地でけん引するのは、タクシーの配車サービスを展開するシンガポールのグラブ。3月9日、事業参入を発表した。

 スマホ上の専用アプリを開けば、利用者の近くにある空いている自転車を地図上で表示。自転車に貼り付けられたQRコードにスマホをかざして個人認証が完了すると、自転車のロックが解錠される。決済もスマホ上で済ませられ、乗り捨ても可能だ。

グラブのアプリで「GrabCycle」を選ぶと、周辺にある自転車が表示される。提携先4社の自転車が全て見える(上)。QRコードを読み取れば使える(下)

 もっとも、この使い方自体は中国などで広がった自転車シェアサービスと変わらない。グラブの新しいところは、「ASEAN初の自転車シェアのマーケットプレイス(仮想商店街)」を標榜しているところ。シンガポールで自転車シェアサービスを展開する各社の自転車を「シェア」できるようにしたのだ。現在、参加しているのはオーバイク(oBike)など4社。利用者はよりたくさんの自転車の中から選べるようになり、「乗りたくても近くに自転車がない」といった不満を解消する。

 参加する自転車シェア会社のメリットは大きい。オーバイクのゼネラルマネジャー、ティム・ファン氏は「グラブが抱える膨大な数のユーザーに当社のサービスを提供できる。これほどたくさんのユーザーを当社単体で勝ち取ろうとしたら、長い期間を要する」と説明する。