クルマとITの融合、日本は周回遅れ

 トヨタ自動車とソフトバンクの連携は、乗り物のサービス化を意味する「MaaS(Mobility as a Service、モビリティーサービス)」の分野で、「日本連合」が誕生したことを意味する。

 10月4日の記者会見で、トヨタの豊田章男社長は「なぜソフトバンクとトヨタが、という方も多いでしょう。(自動車業界は)100年に1度の大変革を迎えている。競争の相手もルールも大きく変化している」と述べ、「異業種タッグ」の狙いを新たな技術やビジネスモデルに対応するためと説明した。

 ただ、MaaSを支えるクルマとITの融合は、世界を見渡せば、もっと速いスピードで進んでいる。

 例えば、中国。ネット通販大手のアリババ集団は、中国を代表する国有自動車大手、上海汽車集団とコネクテッドカー(つながるクルマ)の分野で提携。2016年には、アリババが開発するOS(基本ソフト)を組み込んだコネクテッドカーを発売している。同分野でアリババは米フォード・モーターと提携するなど、海外勢をも仲間に引き込む。

アリババ集団と上海汽車はアリババの基本ソフトを組み込んだコネクテッドカーを2016年に発売

MaaSで先行するダイムラー

 欧州では独ダイムラーがモビリティーサービスで稼ぐビジネスモデルへの転換を目指し、他社に先がけて動く。昨年末には仏ライドシェア大手、ショフェール・プリヴェを買収。米個人間カーシェアリング大手トゥロにも出資している。19年には3つに分ける事業会社のうち一つを、モビリティーサービスを専門に手掛ける「ダイムラー・モビリティー」部門として立ち上げる。事業を切り出して他社との連携をさらに進めやすくして、「サービスで稼ぐ」事業モデルをいち早く確立する狙いだ。

 クルマという「モノ」を売り切るモデルからの脱却を目指す自動車メーカーと、移動サービスに新たな商機を見いだすIT(情報技術)企業。こうした世界の潮流に対し、ソフトバンクでCTO(最高技術責任者)を務める宮川潤一副社長は10月4日の会見で「危機を感じている」と率直に語った。ソフトバンクの孫正義会長の右腕は、このままでは日本は世界から取り残されると感じていたのだ。

 そんな周回遅れの日本勢が巻き返す一手をトヨタ・ソフトバンク連合は打つことができるのか。具体的な成果を早く出すことが求められる。

(小平 和良)

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