VWが1.5Lにアップサイジング

 エンジンを“アップサイジング”する取り組みをかねて主張してきたのがマツダである。同社でエンジン開発を統括する常務執行役員の人見光夫氏は2015年、日経Automotiveの取材に対して「アップサイジングが実燃費の改善に貢献する」と語っていた。

 一方、アップサイジングしたガソリンエンジンをいち早く量産化したのが、ドイツ・フォルクスワーゲン(VW)グループである。排気量を従来の1.4Lから1.5Lに増やした「EA211 TSI evo」の量産を2016年後半に開始し、「ゴルフ」などに搭載した。

 小排気量化(ダウンサイジング)を先導してきたVWグループの方針転換は、業界に衝撃を与えた。WLTCの導入間近になり、日系メーカー各社が追随し始めた格好である。

 スバルが開発したのは、排気量2.5Lで自然吸気の4気筒水平対向ガソリンエンジン「FB25」。先代フォレスターの2.0Lに比べて、排気量を25%増やした(下図)。

フォレスターの外観
2018年7月に発売。2.5Lガソリンエンジンに加えて、小出力モーターを搭載した2.0Lガソリンエンジンを用意する。

 WLTCへの対応を想定し、「従来の2.0L搭載車に比べて、高速域の燃費性能を高めた」(スバルのエンジン技術者)。JC08モードの燃費値が14.6km/Lに対して、WLTCモードは13.2km/Lと燃費値で約1割の悪化にとどめられた。

 先代フォレスターの海外仕様に自然吸気の2.5L版はあったが、日本では初めて。海外仕様の2.5Lはポート噴射で、新エンジンでは直噴にして大きく変えた。熱効率に直結する圧縮比は12.0と、従来の2.5L版の10.5から大きく高めている。エンジン型式こそ「FB25」で先代の海外仕様エンジンと同じだが、大幅改良といえる。

 スズキが発売した小型車のジムニーシエラに搭載したのが、排気量1.5Lで直列4気筒の自然吸気ガソリンエンジン「K15B」である(下図)。

ジムニーシエラの外観
2018年7月に発売。1.5Lガソリンエンジンを搭載する小型車。軽自動車のジムニーもある。

 WLTCモードへの対応に備えて、先代の1.3Lから15%ほど排気量を大きくした(注1)。ジムニーシエラの販売の主力は、WLTCを先行して採用する欧州である。

*注1:インドネシアで2018年4月に発売した「エルティガ」に採用したばかりの新しいエンジンである。エルティガで横置きしたエンジンを縦に置き替えて搭載した。排気系部品や冷却部品などはシエラ用に新しく設計している。排気量を大きくしたことで、先代に比べて出力性能も上げられた。最高出力は15%増の75kW、最大トルクは10 %増の130N・mに達する。