血液や尿の検査に使う医療機器や試薬の製造・販売を手掛けるシスメックスは、11月10日、2016年4~9月期の決算説明会を開催した。売上高は1187億9900万円で前年同期比2.4%減、営業利益は270億3000万円で9%減と、減収減益だった。売上高の84%以上を海外事業が占めており、円高の影響を受けた格好だ。

シスメックスの家次恒会長兼社長(写真=行友 重治、撮影は2015年10月)

 中でも米国は、売上高が263億3000万円と、全体の2割以上を占める。特に今期は営業利益が17億4000万円と円ベースでは前年同期比38.3%増と好調に推移した。血液中の赤血球数や白血球数などを測る「ヘマトロジー」領域におけるシェアの拡大が寄与した。

 米国大統領選を制したドナルド・トランプ氏は、就任した場合にオバマケア(医療保険制度改革)の即時撤廃を宣言している。オバマケアによって低所得層を中心に保険加入者が増えた結果、検査を受診する人が増加した。つまり、シスメックスにとってオバマケアは追い風となっていた。トランプ政権の誕生が現実になった今、シスメックスの事業に水を差すことはないのか。決算説明会では、家次恒会長兼社長は、次のようにコメントした。

家次:「(選挙結果が出た)昨日(11月9日)、識者は一斉に『円高が進む』と話していたが、足元を見ると円安で進んでいる。必ずしも悲観的ではない。まだトランプ氏の政策がきちんと出ていないので何とも言えないが、米国ではヘルスケアの株が上がっているとも聞いている」

 「米国事業はヘマトロジーが中心で順調に推移しており、シェアは50%を超えたと認識している。西海岸に拠点を設けた。ここは競合のホームグラウンドでもあるが、攻勢をかけて功を奏している」

 「オバマケアにより物品税がかけられたが、今、一時的に停止している。その効果が4~9月期は、利益にしてプラス2.6億円あった。これがトランプ政権になると、(物品税は)なくなる可能性が大きい。そうなると我々には若干のプラスになるとみている」(注:オバマケアによる財政負担を相殺するため、医療機器を製造または輸入する企業に物品税を課したが、2016年から2年間凍結している)