米大統領選でトランプ氏の勝利が確定的となり、世界の主要市場で最も早くトランプショックが襲いかかった東京株式市場。9日の日経平均株価は前日比で一時1000円安まで売られる場面があった。

 トランプ大統領の誕生は、世界的な金融市場の混乱を引き起こすのか。三菱UFJモルガン・スタンレー証券で数理モデルなどを通じて市場分析する古川真チーフ・ポートフォリオストラテジストは、「相場大崩れ」シナリオと、「平穏」シナリオの2つの可能性があり得ると分析する。その分かれ目は今週金曜日に訪れるという。

株式の「恐怖指数」は意外と冷静

株式市場はトランプ氏の勝利を全く予想していなかったのでしょうか。

古川 真(ふるかわ・まこと)氏
三菱UFJモルガン・スタンレー証券 チーフ・ポートフォリオストラテジスト
2001年大和投資信託入社。日本株・グローバルアセットアロケーションのクオンツ分析担当。。2004年野村證券金融経済研究所金融工学研究センターにて日本株クオンツストラテジストに。2007年UCLA アンダーソン・スクール・オブ・マネージメントにて客員研究員。2008年野村證券金融経済研究所金融工学研究センターに復帰。2010年ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズにて日本株・グローバルアセットアロケーションのクオンツアナリスト。2014年三菱UFJモルガン・スタンレー証券入社。

古川:これだけ株価が下げると言うことは、メーンシナリオとは全く捉えていなかったと言えるでしょう。クリントン氏の私用メール問題が一旦解決に向かい、日米の株価が上昇するなど楽観ムードが広がっていたことは確かです。その反動で、トランプ氏勝利は市場に大きなショックを与えました。

為替相場では急速に円高が進みました。

古川:世界的にリスクオフの機運が広がり、(安全資産とされる)円が買われ円高が進む展開になりました。ただ、9日の日中は101円までに踏みとどまり、100円を割る場面はありませんでした。思ったほどは円高に進まなかったな、というのが正直な印象です。主要企業の想定為替レートは1ドル102~103円なので、現状で踏みとどまれば、企業業績へのマイナスは避けられます。株価も何とか持ちこたえるかもしれません。

今後は世界中で株価が乱高下する不安定な環境になるのでしょうか。

古川:トランプ大統領となれば、経済への不透明感が増します。これまで既定路線とされていた米国の利上げもどうなるか分かりません。不安が大きくなるのは当然です。ただ、米国株の変動予想の大きさを示す恐怖指数(VIX)は先物ではそこまで上昇しませんでした。日本時間の9日午後で指数は20台前半。昨年8月の中国の人民元切り下げの際は40台まで上昇した事を考えると、実は市場はそこまで大きなショックと現時点では捉えていない可能性もあります。