トランプ氏は「フツーの大統領」になりますか?

藤本:実現不可能な公約を口にしてきたのは、過激なイメージを打ち出し、エリートであるクリントン氏に対抗するためです。当選という目標を達成した以上、就任後は現実路線を進むと思います。環太平洋経済連携協定(TPP)すら飲むかもしれません。保護主義に突き進んで損を被るのは米国自身であり、トランプ氏自身も分かっているはず。

 70歳という年齢を考えると、1期4年での退任が念頭にあるはずです。それならば、掲げてきた公約の実現に本気で取り組む必要はありません。

 選挙で彼が制した州を見ると、やはり貧しい人の支持を集めたのだと分かります。それでも、彼自身は成功したビジネスマンなのです。優先的に取り掛かるのは不動産を持つ富裕層や大企業にとって有利な政策ではないでしょうか。

勝因の1つは激戦州フロリダを制したことです。10月下旬に同州で演説した際、トランプ氏は「大統領に就任した初日にオバマケア(医療保険制度改革法)を廃止する」と訴えていました。医薬品・医療機器を手掛ける日本企業とって当選は逆風になりますか?

 その可能性はあります。ただ、オバマケアは低所得者向けのセーフティーネットという側面が強い。日本企業が得意とする高額な薬や機器への影響はあまり大きくなさそうです。当面は円高による資源安で一部の企業が恩恵を受けるでしょう。

(聞き手:上木 貴博)
藤本誠之氏には、特集「もしトランプが大統領になったら…」の中で、米大統領選でトランプ氏が勝利した場合の影響などについて語ってもらっています(トランプ大統領で旅行特需? カギは横田基地/2016年10月20日公開)。併せてこちらもお読みください。