土屋 大洋 氏
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授(兼 総合政策学部教授)。専門は国際関係論、情報社会論、公共政策論。1999年3月、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程修了。博士(政策・メディア)。国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)主任研究員や情報セキュリティ政策会議有識者構成員、慶應義塾大学グローバルセキュリティ研究所(G-SEC)副所長などを経て、2011年4月より現職。

ドナルド・トランプ氏が米大統領選を制しました。「トランプ氏のサイバーに関する“嗅覚”は非常に鋭い」と分析していましたが、選挙戦にどんな影響があったのでしょうか。

土屋:前回の選挙戦ではバラク・オバマ大統領がツイッターやフェイスブックを駆使して大統領の座に就きました。ところが今回、後継者であるヒラリー・クリントン氏はそのノウハウを踏襲できませんでした。むしろ、インターネットを上手く使いこなしたのはトランプ氏。ツイッターのフォロワー数で、トランプ氏がヒラリー氏を上回っていることが象徴しています。

 今回の選挙戦では、米国のエリート層が考えている世界観と一般大衆が見ている現実の間に、激しいギャップがあることが浮き彫りになりました。(大衆迎合主義を意味する)「ポピュリズム」が、インターネットによって増幅されたのは間違いありません。トランプ氏はネットとポピュリズムの本質を直感的に理解していたのでしょう。

トランプ氏は一方で、「米国には攻撃用サイバー兵器が必要」と選挙期間中に発言し、従来の方針を転換する可能性を示唆しました。

土屋:大統領就任前なので予測は難しいのですが、トランプ氏がサイバー兵器を安直に使う可能性は否定できないと思います。核兵器のボタンを押すよりも手軽だからという理由で、サイバー攻撃を積極化しかねない。