みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト 唐鎌大輔氏に聞く

唐鎌 大輔(からかま・だいすけ)氏
みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト
2004年、慶応義塾大学経済学部卒業後、JETRO(日本貿易振興機構)入構、貿易投資白書の執筆などを務める。2006年、日本経済研究センターへ出向し、日本経済の短期予測などを担当。2007年、欧州委員会経済金融総局(ベルギー)に出向。2008年10月、みずほコーポレート銀行(現・みずほ銀行)入行。国際為替部で為替分析を担当している。著書に『欧州リスク 日本化・円化・日銀化』(東洋経済新報社、2014年7月)などがある(写真:柚木裕司)。

 トランプ勝利は、やはり格差の拡大を放置してはいけなかったということを強く感じさせた。英国が6月に国民投票で欧州連合(EU)離脱を決めた際にもグローバル化の中で格差拡大に怒る人々の増大が強く影響したが、米国でもそうだったということだ。

 トランプ氏は、これまでのドル高が米国の輸出を抑制し、雇用を奪っているとして、選挙戦で通貨高を拒否すると言い続けてきた。当然、ドル安政策をとってくるのだろう。

 まず連邦準備理事会(FRB)が12月に実施すると見られていた利上げには、反対するだろうから先送りになる可能性が高い。

 さらに、輸出拡大のために製造業などに強い支援策を施すかもしれない。まさかとは思うが、繰り返し言ってきた北米自由貿易協定(NAFTA)からの離脱などを本気で考え出せば、米国企業のみならず、多国籍企業にも大きな影響がある。

 どれをとってもドル安へ進む要素ばかりだ。ただ、これで米国経済が大きく減速するようなことになれば、FRBも対応せざるを得なくなる。それは、これまでの利上げとは全く逆の再金融緩和だ。その時、日銀はどのような対応をするのか。おそらく取れる手はなく、非常に難しい状況になるだろう。ドル円レートは、1ドル90円台前半に入っていく可能性があると見ている。これからの円高は1年程度は続くのではないか。

(聞き手:田村 賢司)