シリコンバレーに来れば誰でも成功できるとは限りません。成功したベンチャーの半数に移民が多いのはなぜでしょうか。

伊佐山:経済学者のヨーゼフ・シュンペーター氏は、イノベーションの源泉は「コンビネーション(結合)」だと定義しています。コンビネーションとは、アイデアとアイデアのつなぎ合わせですね。

 面白いコンビネーションを作るには新鮮な発想が必要。今までとは違う角度で、もう一度世の中を見直す視点が大事なのです。移民のほうがより新鮮な目で産業を再定義したり、これとこれを組み合わせてみようという発想にたどり着いたりしやすいのだと思います。

 移民は、国を移動した時点で色々な世界を知っています。つまり、新たな組み合わせを発想する際のバリエーションが豊富なのです。これは、「中」にずっといる人に比べ、圧倒的に強い優位性だと思います。

移民を突き動かす2つの力学

 移民がイノベーションを起こしやすいと言われる背景には、さらに2つの力学が働いていると考えます。

 シリコンバレーに来ると、誰もが最初「お前誰だ」という目で見られます。もちろん私もそうでした。成功して、自分自身の存在価値を証明しないと、シリコンバレーの住民だと認めてもらえないのです。そのため、何とかこの地で芽を出したいという力学が猛烈に働きます。

 ここに、「母国に錦を飾りたい」といった力学も加わります。移民と言っても、母国に二度と戻らないわけではありません。米国に来て認められれば日本も盛り上がります。メジャーリーグで活躍しているイチローを見ると分かりやすいですね。シリコンバレーと母国の両方に認められたいという力学が働くのです。

 目立ちたい、成功したい、人と違うことをしたい、といった意識が強くなると、普段いるゾーンから飛び出しリスクを取ってでも何かを成し遂げよう、挑戦しようとなるのです。それが、大きなイノベーションを生み出す最初のキッカケになるはずです。