日本が自由貿易の旗振り役に?

米国は自由貿易の旗振り役だったはずです。

新浪:米国のビジネスリーダーと話していると「米国がTPP参加を渋っているのは大変遺憾だ」と言います。

 と同時に、彼らが「歴史的にすごいことが起こる可能性がある」と話すのは興味深いことです。米国がこのままTPPに消極的であり続ければ、自由貿易の旗振り役は日本になる。もちろん、日本がTPPを批准するのが大前提ですが。これまで日本は米国に言われて貿易の自由化をのんできた経緯があります。この構図が逆転することになります。

 日本は世界第3位の経済大国。安倍晋三政権が、安定した政権基盤のもとで自由貿易をしっかり進めていこうと旗を掲げてくれるのなら、われわれ経済界としては勇気が出てきます。「米国が消極的だから日本も批准しなくていい」ではなくて、日本の取り組みによって世界に大きなインパクトを与えることができるチャンスだと考えるべきです。

Brexitの反省は生きるか

ここまで「もしトランプが大統領になったら」を聞いてきました。ここでトランプ候補が大統領になる可能性についてお聞きします。英国ではEU離脱をめぐる国民投票で「まさか」が起こりました。米大統領選でも「まさか」、つまりトランプ候補が当選する可能性はあるでしょうか。

新浪: 英国の国民投票について、私は、どちらかというと結果そのものではなくて、結果を受けて示された英国人の反省のほうに興味を持っています。英国では「こんなはずじゃなかった」と多くのひとが反省しているようです。

 その反省を目にしている米国人の意識が、大統領選に影響する可能性があると思います。現時点で民主党のヒラリー・クリントン候補が優勢なのはその表れかもしれない。

 仮にトランプ候補が当選したとしても(保護主義の危うさを認識した米国人の民意は)なんらかの「抑え」として機能するかもしれません。

米国の経営者は支持する候補を明確にする印象があります。新浪さんはトランプ候補とクリントン候補のどちらを支持していますか。

新浪:まあ、僕は有権者じゃないので、どちらが良いということはないです。ただ米国が内向き志向に陥っているのは事実で、これは両候補(の発言内容など)に共通する。米国の内向き志向をどう変えていくか、そのために日本はどんな役割を果たせるのか。TPPへの対応も含めて、日本として努力するべきは何かを考えるべきではないでしょうか。