《STEP2》方針を明文化&宣言する

 次に取り組みたいのが、LGBT対応方針の明文化だ。会社としての姿勢を社内規程の中に盛り込み、社内外に公表することで、一過性の取り組みではなく、これから継続的に取り組んでいくことの宣言になる。

 ここまではLGBTという言葉を使ってきたが、実際に規程に明記するときには、LGBTにかぎらず全ての人が持つ性の要素である、「性的指向」「性自認」の言葉を使うことが推奨されている。何についての課題であるかが明確になるからだ。

性的指向(Sexual Orientation):好きになる相手の性別
同性愛者は性的指向が同性に向く、性的指向に関するマイノリティ
性自認(Gender Identity):自分の性別の認識
トランスジェンダーは、生まれたときの性別とは異なる性自認を持つ、性自認に関するマイノリティ

 具体的な規程の例としては、倫理規程や人権規程などの中に「人種」「国籍」「性別」「障がいの有無」などを理由に差別をしないと書かれている場合に、同列に「性的指向」「性自認」を追加して明記することになる。

 ちなみに、この性的指向と性自認の英語の頭文字をとった「SOGI(ソジ)」という略語も使われだしているので覚えておくと便利だ。

 さらに最近では、「性的指向」「性自認」に加えて、性のもう一つの要素である「性表現」(Gender Expression)も併記する企業が少しずつ増えてきた。性表現とは、服装、髪型、話し方、しぐさなど、自分の性の表現を表す概念だ。

 とくに働きながら性別を移行するトランスジェンダー社員への対応やサポートを進めていくことを考えると、性表現も含めて保護の対象として規定することが重要になってくる。(性表現も含めたときの略語は「SOGIE(ソジー)」となる。)

 社内規程の中に「性的指向」「性自認」「性表現」による差別禁止を盛り込み、経営トップのメッセージとして、ダイバーシティの柱の中にLGBTに関することも含めて取り組みを進めていくこと、LGBTも働きやすい職場環境を整えていくことを社内外に発信すると、全社的な動きであるという認識の共有が広がる。

 LGBT社員にとっては、何か困ったときのよりどころになるし、働く上での安心感を高めてくれる要素になる。

 もちろん、規程に入れただけで何も社内で啓発をしなければ、規程に盛り込んだ意味がない。LGBT社員が抱えがちな、職場での特有の困りごとについて知ったり、性的指向・性自認・性表現によって差別をしないとは具体的にどういうことを指すのかなどについて学んだりする研修の機会が必要だ。

 管理職研修、ダイバーシティ研修や新人研修などの内容の一部として、しっかりと継続的に意識改革を行ってほしい。規程の変更をきっかけとして、職場の空気をLGBTフレンドリーなものに変えていくことができる。