離脱派の幹部からの圧力

EU離脱投票との関わりと、その後の経緯について教えてください。

シャミール・サニさん(以下サニ氏):私は、EU離脱を問う国民投票において、EU離脱派「Vote Leave」でボランティアをしていました。私の役割は、黒人や少数民族の人たちに呼びかけることでした。そこで働いている最中に、また別の団体(BeLeave)に関わりました。

 英国には、すべてのキャンペーンが平等に行えるよう(選挙法によって)資金投入の上限が定められています。資金の多いほうが選挙に勝ってはならないからです。ただし、団体の数には上限がないという抜け道がありました。

 私はBeLeaveで会計係をしており、62万5000ポンドの寄付金を受け取りました。政治に関わるのは初めてのことで、普通のことなのだと思っていました。国民投票では勝利しましたが、のちに報道機関や選挙委員会から、私たちがしたことは、違法行為だと知らされました。Vote Leaveは(選挙)制度を欺いたのです。そこで、こうした事実を告発しました。

 この過程で、私が活動をしていた当時付き合っていた男性が、私の了解なしに、私が同性愛者であることを公表しました。そして、勤め先からも解雇されました。告発に激怒した保守党は、私の人格をあらゆるメディアを使って否定することで、私を潰そうとしました。

不正には、どのようにして気づいたのですか?

サニ氏:最初は、全く気付きませんでした。国民投票で勝利し、22歳にして突然莫大な資金を手にして、本当に興奮しました。将来的なキャリアにおいても、希望を持っていました。一生懸命に活動したことが報われたのです。しかし、段々と色々なことがわかってきました。離脱派の幹部から、事実に反して、2つの団体は連携していないと当局に証言しろ、と言われました。

 投票の1年後、BeLeaveが使用していたGoogle Driveを開けてみると、それまでアクセスしていたVote Leaveの幹部らが、ドライブから自分たちを削除しているのに気付きました。即座に、何かがおかしいと感じました。

 自分は、若く、熱意を持ったボランティアの友人らと共に騙された、利用されたと感じました。こうした影響力をもつ人たちが不正を働いて、勝ったのだと。世間知らずでした。政治も法律も良くわかっていませんでした。そこで当局に出頭して証拠を提出し、弁護士を雇い、告発に踏み切りました。

なぜ離脱を支持したのですか?

サニ氏:EU離脱は、私が望む英国の姿を実現すると感じたからです。欧州人だけでなく、世界の人たちを歓迎する国であって欲しいと思いました。私にとってブレグジットは、移民の削減ではなく、むしろ増大するものでした。壁を作るのではなく、欧州だけではなく、世界に扉を開くことだと。

 私はパキスタン系英国人として英国に来ましたが、パキスタンは一時、英国領であったのに、学業も優秀なパキスタン人の友人は、観光ビザすら取得できませんでした。欧州人に対し、南アジア人・英連邦人の扱いの違いは受け入れがたく、解決には離脱しかないと思いました。私はこのことを、恥じてはいません。

 私はパキスタン人で、祖先は英国のために戦いました。なぜ、欧州人の方がより多くの権利を有しているのでしょうか。私は反移民ではなく、制度を公正にしたかったのです。

 離脱に対する間違った理由もあると思います。外国人にうんざりだからと言って、離脱に投票すべきではありません。(反移民派がいう)雇用が外国人に奪われていると言う根拠はないのです。政治家は、自分の欲するものを得るために、市民の誤った感情をあおるものです。