昨年11月の米大統領選では、いわゆる「フェイク(偽)・ニュース」の台頭が大きな問題として取り沙汰された。しかし、今回の選挙で、仮に若者層が実際に結果を左右するカギを握り、既存のメディアに頼らなかったうえに、ソーシャルメディアから流れてくる情報を「フェイク・ニュース」の持つ危険性まで考慮した上で吟味し、判断したのなら、画期的な現象だと言える。

 英国の若い有権者層は、もはや一方的に垂れ流される情報に「お客さん」然として反応することもなければ、またそうしたメディア情報に踊ったが故の誤判断の責任を一方的にメディアになすりつけることもしなくなったのだろうか。そして、自分から積極的に情報を取りに行き、価値判断を行う世代へと進化しつつあるのだろうか。もちろん、すべての若者がそうだとは言わない。それでも、そうした動きは確実に英国の若者層から出始めており、その最初の年代である今の18~24歳には、脱帽である。

 ちなみに、本稿執筆中の11日午後、メイ首相の公式フェイスブック(FB)ページへの「いいね!」は43万あまり、コービン氏は約124万である。FBを利用する年齢層の「空気」に関しては、少なくともコービン氏の方が読めているようである。

史上最も多様性のある議会

 最後に、今回の総選挙で特筆すべき事象をもう一つ挙げたい。選出された650人のうち、女性議員は208人、小数民族が52人、LGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー)と公言する議員は45人だ。いずれも過去最高の人数で「英国史上最も多様な議会」と位置付けられた。なおBBCによると、障害を持つ議員については、公式な推移は記録されていないものの、再選1人を含め5人が選出されている。

 今回の選挙で誕生した議会では、社会における少数派を代表する議員たちが半数近くを占めて、国民の声を代弁することになる。そして、支持政党を問わず次世代を担う若者たちが、一部のエリート層だけのためではない議会を誕生させる原動力になったのだとしたら、EU離脱後の英国の未来は、意外と明るいのかもしれない。