中堅アパレルのマークスタイラー(東京都渋谷区)は2015年、中国政府系ファンドのCITICキャピタル・パートナーズ傘下に入った。「渋谷系」と呼ばれる若年層向けブランドで急成長した同社も、「低価格+拡大」戦略が裏目に出て2014年度に赤字転落を経験。その再建を支援したのがCITICだった。「渋谷系」×「中国政府系」という、異色の取り合わせはどういう経緯で生まれたのか。マークスタイラーの秋山正則社長に話を聞いた。

「新規15ブランドがすべて当たらなかった」

マークスタイラーの秋山正則社長

どういった経緯でファンドの出資を受けたのですか。

 「うちには現在19のブランドありますが、それぞれの売上高がだいぶ違います。年間50億円もあれば、10億円もあります。それなのに、2014年の消費増税を控えた時期に、各ブランドに対して『低価格の戦略商品を作れ』と指示してしまったんです」

 「50億円のブランドは生産ロットも多いので対応できましたが、10億円のブランドには難しかった。より安価な生産拠点に変更するなどしたため、結果として商品が劣化してしまいました。会社としては中長期で売上高1000億円を目指していたため、この頃に15ブランドを立ち上げていました。結果、人材も投資も分散し、すべてが当たりませんでした」

 「そして数十億円分の商品が在庫として残ったわけです。2013年度はかろうじて2億円の黒字でしたが、2014年度は29億円の赤字に転落しました。オーナー個人でファイナンス出来る額ではなくなっていたので、ファンドを中心に支援してくれそうな相手を探しました。希望は『マークスタイラーの形を維持したまま、支援してくれる』でしたが、なかなかいませんでしたね(笑)」

 「そんな時、過去の案件を1つずつ精査して、こちらの権限を最も尊重してくる形で入ってくれるファンドを探したところCITICの名前が挙がりました。一部で『中国に魂を売るのか』と言われましたが、彼らに入ってもらってから、事前に説明していた通りのスケジュール感で、在庫を換金したり、不採算事業から撤退したりして全部終わらせました」

 「冒頭にお話しした新規15ブランドの中で、今も残っているのは3つだけです。社内でも不安だという声はありましたが、どうにか持ちこたえ、2015年度は8億円の黒字に転換しました。周囲からは『こんな短期間にどうやって立ち直った』と聞かれますが、再建の道筋が描けていなかったらCITICも買ってはくれなかったでしょう(笑)」