国内工場と直接取引して作ったシャツや革靴などを、インターネットを通じて販売するファクトリーブランド「ファクトリエ」。商社や中間業者の中抜きによってコストを下げ、販売価格に対して高品質な商品を供給する、というビジネスモデルで急成長している。SPA(製造小売り)モデルで成功したユニクロと比較されることもあるが、ファクトリエを運営するライフスタイルアクセントの山田敏夫CEO(最高経営責任者)は「ユニクロになろうとは思わない」と言い切る。

 中国への工場移転で国内産業の空洞化を招き、過剰生産による価格下落にも苦しむ日本のアパレル業界。ファクトリエのビジネスモデルはそんな業界全体に対するアンチテーゼとも取れる。日本のアパレルを蝕む病巣の分析と、それを踏まえてファクトリエが目指す未来について、山田氏に話を聞いた。

山田CEOは1982年、熊本の老舗婦人服店に生まれた。2012年にライフスタイルアクセントを設立し、「ファクトリエ」を開始した。

大手アパレルの下請けだった工場と直接取引し、それをインターネットで直接販売するビジネスモデルを確立しました。

 「大きく3つの壁がありました。そもそも工場がない。次に、やっと探し出しても、コスト削減に慣れてしまって肝心の技術が失われている。さらに、そんな状況だから若い人が誰も入ってこない産業になっていました。我々がやっているのは、百貨店が5万円で売っているジャケットを2万5000円で売るという、『コスト削減型』ビジネスではありません。百貨店と同じ5万円という値段で売ったとしても、そのジャケットに10万円の価値があるという『価値創造型』です。低価格を前提にしないので、価格決定権を工場に渡しています。我々が消費者に売る値段は、工場が我々に売る値段の倍と決めています」

 「技術のある工場の名前を世間に広め、彼らがお客さんや次の働き手と直に接してもらえる仕組みを作っています。例えば見学ツアーで顧客の声を直接届けるとか、10~20の工場を集めて就活イベントもやっています。こうした取り組みを我々が主催出来るのも、工場と直接取引し、それを直販しているからです。でなければ、まず商社に相談にいって、アパレルブランドや卸業者に声をかけて、と何段階も踏む必要があります」