ユニクロで時代を塗り替えたファーストリテイリング(FR)でさえ、アパレル業界全体を取り巻く不振と無関係ではいられない。急速に変化する外部環境と、内部の構造問題との板挟みにあうアパレル業界はどこへ向かうべきなのか――。柳井正会長兼社長へのインタビューから見えてきた、その将来像と戦略とは。

アパレル業界が陥っている不振の構造をどう分析していますか。

  「『洋服』というぐらいなんで、やっぱり欧米ブランドの方がいい、という借り物の価値観がありました。日本は中産階級が1990年ぐらいまでどんどん成長したので、『いい服を着て、いい夢を見る』という風潮でしたね。それを当然と受け取って、業界は世界の水準から見て異常に高い商品を売っていたと思います」

柳井 正(やない・ただし)氏 1971年早稲田大学政治経済学部を卒業し、ジャスコ(現・イオン)に入社。72年、実家の小郡商事(現・ファーストリテイリング)に転じ、84年から社長。同年、ユニクロ1号店を広島市に出店。会長就任などを経て、2005年から現職。山口県出身、67歳。(写真:竹井 俊晴)

  「それから20年以上経って、身の丈に合った消費に変わっていきました。そこに日本の停滞というか衰退が重なって、こういう極端な世の中になりました。服は服としての付加価値みたいなもの、つまり生活が豊かになるような何かがないと売れない。うちもあまり最近、儲かってないんですけど(笑)」

 「フリースブーム(1998年頃)のとき、僕は『服もコンビニ弁当と変わらない』と言いました。そうしたら『野蛮人だ』と言われたんですね。でも、商品は商品でしょう。ファッションが特別ではなく、ほかの商品と同じようにお客様がお金を払って買うものだ、という認識が業界には足りなかったんじゃないでしょうか」

アパレル業界はこれからどこへ向かうのでしょうか。

  「情報化が進み、まず国境の差がなくなりました。それから業界の差がなくなった。いまや世界中に飛び交うニュースをインターネットで得て、それを人工知能で全て分析できるという時代です。その胴元が米アマゾン・ドット・コムや米グーグル。服は情報そのものなので、彼らはファッション業界に入ってきています。必ず次のメインプレーヤーになりますし、近い将来、大きな競争相手になるでしょう」