「店舗で新しい顧客に会うことは、できるだけしたくない」

 ニューヨークにオフィスを構える「MM.LaFleur(エムエムラフルール)」も、衣料・服飾分野のブランド・ディスラプターの一つだ。ECで商品を購入できるのみならず、商品を数点合わせたセット商品を定期的に送るサービスも提供。エバーレーン同様、店舗はあくまで補完の位置づけだ。

 「できるだけ店舗で新しい顧客に会うことはしたくない。サロンのような役割に留め、ECでの購買履歴で嗜好を理解した上で接客する方が我々にとってもお客さんにとっても効率的。その意味では、一等地の1階にお店を持つ必要はない」(サラ・ラフルールCEO)という。流通や店舗の運営コストがほとんどないことから、「顧客にとって本当に必要な部分」に投資できるという。「デザイン開発という入口と、カスタマーサービスという出口に徹底的に投資をしている。市場に出る同様のクオリティーの商品に比べて、最終コストは半分以下で、かつ、顧客メリットを最大限高められている」(ラフルールCEO)。

MM.LaFleurのフィッティングの様子。商品はすべて独自デザイン、開発(撮影:Mayumi Nashida)

服はショーのためではなく消費者のためにある

 チーフデザイナーのミヤコ・ナカムラ氏は、ザックポーゼンやジェイソンウーなどのデザイナーを経て同社に参画。「生産過程において実際の女性が着るフィッティングの過程は、メガブランドで数回と言われるところ、MMでは多い時で20回以上こなす。旧来のファッションのシーズン制にはこだわらない」という。季節ごとに決まって大量に商品を生産する旧来のアパレルとは真逆のやり方で、納得のいくまで商品開発を行い、小ロットで売り切る。

 ラフルールCEOもこう続ける。「ファッションは、ファッションショーをやるためにあるんじゃない。コレクションに間に合わせることを中心とした商品作りはしたくない」という。当然、ただ漫然と商品リリースを遅らせるのではなく、新しい商品は次々と提供する。

 一方で、旧来の商習慣や“季節性”を疑い、消費者にとって適切なタイミングで商品を提供できるような体制でものづくりを行う。例えば、店頭では8月になれば秋冬物が並ぶところ「それはメーカー側の論理。8月だったらまだ半袖を着たい人の方が大半でしょう」と旧来の商品展開や季節性について疑問を呈する。

 同社は2013年の創業で、現在年間売上高は約50億円。1回に10万~20万円を費やす顧客も多く、熱狂的なファンを増やし続けている。

エムエムラフルールの店舗の様子。オフィス横に設置された小さめのスペースで、ビルの6階にある(撮影:Mayumi Nashida)