今回、メルカリを舞台に、古くて新しいこうした問題が“炎上”したのは、ある意味では、同社がCtoCビジネスの一つのインフラになりつつあることの証左、と見ることもできる。多くの利用者にとって、「中古品を売る場=メルカリ」となり、同社が負うべき社会的責任は一層、大きくなっている。

 小泉社長は、今回の問題は「個人間売買の“大衆化”が進んだと実感した出来事でもあった」と振り返る。小泉社長本人は、2000年代初頭から金融機関の投資部門でインターネット業界を担当し、その後はSNS(交流サイト)サービス、ミクシィのCFO(最高財務責任者)を経験するなど、長くネット業界に関わってきた。

 小泉社長はメルカリが立たされている状況について、次のように語る。

 「ネットオークション時代もこうした問題はあったが、当時はセミプロのような人が多い世界だった。売る側はセミプロが引っ張り、買う側が一般人というケース。けれども今では、売る側も買う側も一般人が主役。セミプロ時代には、売る側と買う側の間に一定の共通認識があった。いわば、ネットの“お作法”が通用していた」

 「一方、メルカリでは、一般の利用者が増える過程で、昔なら考えられなかったような出品が出てきている。“まさか越えないだろう”と思っていた一線を、楽しさのあまり越えてしまう利用者もいる」

 「だからこそ、僕らも“一般の人が使っている”という認識で、改めてパトロールを強化することが大事になる。利用者への啓蒙も大事になる。ネットの中古品売買がセミプロから一般の利用者に広がることで、当然ビジネスチャンスは大きくなっている。同時に、守るべきものも大きくなってきている。それをもう一度、認識しなくてはならない」

 偽ブランド出品なども、古くからある問題だ。ブランド品が欲しいという消費者心理が存在する限り、なくならないとも言える。

 メルカリでは、約500の団体と連携し、常に連絡を取り合って、偽ブランドに関する情報などを把握するように努めている。代表的なブランドとは、世界でどのような偽物が出回っているのかといった情報を共有している。加えて出品数が多い人気ブランドとは、定期的にミーティングを開いて対応策を話し合っている。

 不正な出品を巡るトラブルは、今後もいたちごっこが続くはずだ。どんなに対応策を講じたとしても、悪意ある利用者から「次の一手」が出てくることは避けられない。

 ただ、こうした問題が起こるのは、そのサービスが拡大する最中には避けて通れない「痛み」でもある。課題をどう乗り越えるのか。個人間売買サービスの主導権を握るようになったメルカリが負う社会的責任は大きい。