売る側と運営側のいたちごっこ
現金出品の手法はこうだ。
出品者が、1万円札を3枚出品するとしよう。額面は当然3万円だが、これを3万6000円などの値段で売る。メルカリでは販売手数料が10%かかるので、1万円札3枚が3万6000円で売れた場合、10%に当たる3600円を引いた3万2400円が出品者の「売り上げ」となる(送料がかかる場合もある)。1万円札3枚が3万2400円で売れるのだから、儲けは2400円の計算だ。
何らかの理由で「現金を今すぐに欲しい」「口座に履歴を残さずに現金がほしい」といった利用者を狙ったものだ。
既に報道されている通り、クレジットカードのショッピング枠を利用して現金を購入することは、クレジットカード会社が禁止している。それなのにメルカリでは、出品された「現金」が販売されていたのだ。
メルカリは「現金の出品は、今年の4月以降、ニュースで取り上げられたことで大きく表面化したが、実際に出品されていた件数や出品者はごくわずか」(小泉社長)と説明する。「紙幣」を出品することが問題になった後は、出品者が工夫し、現金をチャージしたSuicaや、パチンコの換金手段として使われる「特殊景品」を出品するなど、いたちごっこが続いた。
「どこまでやっても、お互いがトラップのかけあいのようになっている」(小泉社長)。
監視体制は月10人ずつ増強
メルカリは、セキュリティ体制を現在も強化し続けている。
「毎月10人前後をパトロール人員として継続的に雇っている。これは今回の問題によって始めたことではなく、過去からずっと続けていること。今年に入ってからも、パトロール人員を50人以上増強している。監視体制を強化する人材について、一度も『採用しなくていい』と言ったことはない」(小泉社長)
今後はサポート体制を強化するだけでなく、画像やテキスト認識の強化といったシステムを活用して問題を回避できるよう、監視体制の強化や利用者への啓蒙を続けるという。
ただ、メルカリが直面した今回のような事態は、「古くて新しい」問題とも言える。クレジットカードのショッピング枠を使って現金を手に入れる方法そのものは、以前からあったからだ。また違法出品という意味では、これまでもオークションサイトなどで違法ソフトウエアの売買や偽ブランド商品の出品などがあった。
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