プラットフォームにベンチャーを参加させるには

 NTTデータは、旧電電公社時代以来40年以上、公共、金融、法人顧客向けシステムというプラットフォームを構築してきた。同社のプラットフォームは、役所、銀行、クレジットカード会社などが参加し、彼らの決済を円滑に機能させる「社会インフラ」である。

 プラットフォームが同社の強さの源泉だが、それに安住できない変化が起きている。それは、フィンテックの成長により、金融機関のサービス開発競争が熾烈になったことである。

 環境変化に適応するには、金融機関はベンチャー企業と提携することが必要だが、両者は企業文化、セキュリティの考え方、事業のスピード感が全く違い、直接組むことは容易でない。そこで、NTTデータは自社プラットフォームを進化させて、金融機関だけでなくベンチャー企業も参加できるようにした。

 プラットフォームにベンチャー企業を参加させるといっても、NTTデータにとって前例のない取り組みだった。そのためには、単にベンチャー企業との接触を増やせば良いのではなく、仕組み作りが必要だった。

 そこで、2014年に「オープンイノベーション事業創発室」(OI創発室)という部署が作られた。ベンチャー企業から集めたアイデアと社内事業部門を連携させることが、新部署の役割だった。

 時間をかけて堅牢なシステムを作るNTTデータと、スピード重視で試行錯誤を続けるベンチャー企業が一緒に仕事をやろうと思っても、ペースが違いうまく行かない。

 そこで、OI創発室が、社内で「アクセラレーター」と呼ばれる、ベンチャー企業と自社事業部門間の緩衝材の役割を果たすことにした。OI創発室は、社内に作られた複数の「イノベーション・ワーキンググループ」(IWG)を対象に、リーンスタートアップとデザインシンキングを基に独自の研修プログラムを開発した。OI創発室スタッフなどが講師になって新規事業のプロセスをレクチャーし、IWGをベンチャー企業のアイデアを料理する受け皿にした。こういうプロセスを経ずにベンチャー企業からアイデアを募っても、その良さは理解されずに消化不良になってしまう。