「100年に一度の大変革」と言われる自動車のEV化や自動運転化の競争が象徴するように、新しいテクノロジーへの対応が企業の命運を分ける時代に突入している。大変革への対応に欠かせないのがオープンイノベーションである。その進め方を実践的に解説した書籍『新たなる覇者の条件』の著者が、最新の産業ニュースを踏まえながら、オープンイノベーション成功のポイントを紹介する。

 前回は、トヨタの脱・自前主義を例にして、オープンイノベーションの5つのステップを解説した。今回は、5つのステップの4番目「プラットフォームを進化させる」について、建設機械(建機)大手のコマツを例に考えてみる。コマツは、新しいプラットフォームを作り、シェアリングビジネスに挑もうとしている。

国内のシェアリング経済は依然黎明期

 近年、日本でもシェアリングエコノミーの市場成長が始まっている。野村総合研究所によると、2017年の国内ユーザー取引総額は2,660億円に達している。ただ、海外と比較すると日本の市場規模は小さい。海外のシェアリングエコノミーは巨大で、ライドシェアの米ウーバー1社だけで、2016年に200億ドル(約2兆2,000億円)ものサービスを生み出している(→参考記事)。

 ウーバーがサービス展開している多くの国でタクシー業界が苦境に陥っている。ユーザーの立場からは、タクシー利用の激減はやむを得ない。筆者がサンフランシスコ市内から空港までの移動にウーバーを使った時はタクシー料金の半額以下(金額は時間帯で変動する)、車もきれいで、ドライバーの愛想も良かった。サービスが悪いことで有名な米国のタクシーと大きな違いがある。

シェアリング経済が次に破壊する産業とは

 ライドシェアはタクシー業界にとって現在進行形の「破壊者」だが、長期的に見ると、トヨタやBMWなど自動車産業の破壊者になり得る。なぜなら、ライドシェアのサービスが社会の隅々まで浸透すると、車を保有する人が減り、結果的に生産台数も激減するからだ。車に乗っている時間帯が週の5%に満たないドライバーにとって「所有からシェア」に移行することは理に適っている。

 ただ、すぐにそのような世の中が来ることはないだろう。自動車のような巨大産業が破壊されるには、社会構造や人々の認知も変化する必要があり、時間がかかる。一方、シェアリングエコノミーは自動車に限らず多くのモノ作り産業に脅威を与える。まず変わるのは、自動車よりも社会的なインパクトが少ない産業だろう。