なぜ、コマツは競合他社にも情報を公開するのか。

 建設現場ではコマツ製以外の建機も多数使われている。しかし、他社製品のアクセスを断われば、プラットフォームに参加する顧客の利便性は下がる。そこで、コマツは思い切って同業他社のランドログへの参加を認めた。ライバル企業に情報を与えるマイナス面を犠牲にしても、プラットフォームが強くなるプラス面が優先された。

 この戦略は、建機にシェアリングエコノミーが入り込むことへの備えといえる。建機は24時間稼働しているわけでなく、使われずに放置されている時間が長い。したがって、建機を保有せずにシェアリングによって調達したいと考えている建設業者は少なくない。建機市場にシェアリングが本格的に導入されると、建機の販売台数は確実に減り、コマツにとって打撃である。

 同社の野路会長によると、コマツがランドログをオープンにした目的は、プラットフォーム事業に「早く」参入することである。自社製品が売れなくなるという理由でプラットフォームを中途半端なものにすると、米グーグルや米アマゾンなどが先にこの事業を始めるかもしれない。こうなると手遅れで、コマツはITプラットフォーマーの下請けになってしまう。コマツによるシェアリングエコノミーへの対応は注目に値する。

●目次

  • はじめに トヨタが再びオープンイノベーションに挑む
  • 第0章 ジャンプするための条件
  • 第1章 組織をオープンにする
  • 第2章 知のダイバーシティを推進する
  • 第3章 あえてダブルスタンダードで進む
  • 第4章 プラットフォームを進化させる
  • 第5章 事業出口を柔軟に探す

●取り上げている企業
味の素、コニカミノルタ、コマツ、サントリー、スリーエム、セブン-イレブン、ソニー、ダイキン工業、大和ハウス工業、東レ、トヨタ自動車、日東電工、日立製作所、富士フイルム、ホンダ、三井化学、リクルート、DIC、NTTデータ、JR九州

2018年9月 日経BP社刊 尾崎弘之(著) 定価:1600円+税