【疑問6】
血液凝固剤の「経口投与」は効くのか
→上部消化管の止血しかできない

 1度目の上陸によって得られたデータから、ゴジラは、体内にある原子炉状のシステムから出た熱の冷却に血液を用いている可能性が指摘された。

 そこで、巨大不明生物特設災害対策本部(巨災対)が決めた策は、血液凝固促進剤を用いて血液流を止め、ゴジラの排熱システムを阻害し、ゴジラ自身の緊急冷却システム(スクラム状態)を発動させ凍結してしまうというものだ。これが矢口プランである。

 ここでは、以下に挙げる2つの点が引っかかる。
・血液凝固促進剤は経口投与によって効くのか
・ゴジラは緊急冷却システム(スクラム状態)を有するのか

 この2点について考えていくこととする。まずは血液凝固促進剤の経口投与だ。

 劇中では、森 厚労省医政局研究開発振興課長によって、トロンビンとシリカをベースとした血液凝固促進剤が用いられた。

 トロンビンは、我々人間が怪我をした際に体内で生産され、止血のために作用する酵素である。実際に医薬品としても止血用に使われている。「経口用トロンビン」とインターネットで検索するといくつもヒットする。

 しかし、ここで重要なのは、トロンビンを経口投与しても「上部消化管の止血しかできない」ということだ。口から飲んでも、食道・胃・十二指腸といった消化管表面部分の血液しか凝固できず、全身の血液凝固ができそうに無いということである。

 この打開策としては、全身の様々な部分から、どうにかして同時に注射するしか無いだろう。しかし、ミサイルでも穴が空かなかったゴジラにそれは難しそうに思える。

 映画の都合としては、多くの方の指摘にあるように経口投与のシーンは、福島第一原発事故の注水作業のメタファーとなっていると私も思うので、やむを得ず経口投与という手段を選んだのかもしれない。

 1度目の上陸で第3形態へ変化を遂げたゴジラは、冷却システムが追いつかず急いで海に戻っている。この時点では緊急冷却システムは機能していないようだ。なのに、どうして尾頭課長補佐はゴジラに緊急冷却システムがあることを断言できたのだろうか。

 劇中では、緊急冷却システムとして「原子炉スクラム」のようなシステムを仮定しているようだ。これは、原子炉が異常をきたした際に、緊急停止するシステムのことである。

 もし、緊急冷却システムが無いのに血液による冷却システムを血液凝固剤で止めてしまえば、核融合による熱エネルギーの制御ができなくなり、大惨事になっていたのではないか。