ゴジラが上陸したら、まず対応するのは東京都

【妄想】――「正体不明の巨大生物が、大田区の呑川を遡っている」との通報が警視庁110番に入電した。同様の通報が東京消防庁119番にも多数入電。これより先、川崎市の東京湾アクアライントンネルの中で漏水事故が発生し、周辺海面が変色しているとの通報があり、神奈川県との都県境を接する警視庁と東京消防庁のヘリが情報収集のために新木場と立川のヘリポートを離陸、羽田空港の空域を避けながら監視していた。ヘリからの映像や東京都防災行政無線で都内への上陸を確認した時点で、東京都危機管理監は、新宿の都庁第一本庁舎の防災センターに「災害即応対策本部」を立ち上げた――。

 シン・ゴジラでは、東京湾で起こった異変に対応して、郡山内閣危機管理監(渡辺哲)が首相官邸に官邸対策室を設置すると同時に、緊急参集チーム協議(最初に矢口官房副長官が登場するシーンで「キンサンチーム」と聞こえるのがそれ)を立ち上げ、各関係省庁の局長級幹部を招集し、各官庁が管轄する情報による分析と、初動措置対応が検討される。

 情報収集のための会議隊が幾度にわたりその姿を変え、内閣の緊急対策本部まで拡大して事態に対処する即応体制は、実は東京都(自治体)にもある。災害対策基本法に基づいて、ほぼ同様の即応体制が立ち上がる仕組みが構築されているのだ。

【妄想】――巨大不明生物は、プレジャーボートを破壊し、津波のように押し流しながら、東京湾から呑川を遡りはじめた。「呑川の橋が壊された」との情報が入る。都庁舎に隣接した議事堂で行われていた都議会本会議は中断され、小塚東京都知事(光石研)が議場から防災センターに入る。小塚知事は「都の地域において大規模な災害が発生し、または発生するおそれがある」と認め、自らが本部長となる東京都災害対策本部を設置した――

 映画にも登場する都の防災センターは、東京都庁第一本庁舎に実際に存在する。セットは非常にリアルに作られている。防災センターは24時間体制で要員が配置され、大規模な地震や大事故の際に即応体制が取れるようになっている。

【妄想】――東京都災害対策本部は、ただちに情報の収集・集約・分析にかかる。大型スクリーンには、警視庁や東京消防庁のヘリコプターからの映像、さらに都内各所に設置されている高所カメラからの映像が映し出され、切り替えるだけではなく、マルチに映し出すこともできる。巨大不明生物(第2形態のゴジラ)の姿を見て、集まった100人の防災担当職員の間から「何だこれは」という声が漏れる。

 対策本部には、現場の警察官・消防官、都職員から、防災行政無線や電話での報告も次々と入ってきた。さらに都職員が至近距離から、スマホのカメラで撮影した動画も「携帯電話被災情報システム」に送られてスクリーンに表示された。

 巨大生物に破壊された地域の負傷者の救出に東京消防庁・警視庁は全力を挙げ、交番勤務の警察官は「工具セット」を背中にしょってガレキの中に生存者を探す。本部では、巨大不明生物の進路から被害を予測し、対処をどうするかの検討が始まった――。

 都の災害対策本部体制は、さらに拡大する。災害対策本部となった段階で、ふだん災害対策に関係しない総務局、都市整備局、生活文化局、教育庁などの職員も、あらかじめ設定されている災害時の役割に切り替えられ、都職員が総動員される体制となる。たとえば生活文化スポーツ局では、災害に関する広報および広聴(被災者の相談業務を含む)、外国人対応、ボランティア支援に関する総合調整などを行うことと決められている。この「役割変え」は、東日本大震災で、避難所の設営やボランティアの調整などに有効に働いた。