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日経ビジネスオンラインでは、各界のキーパーソンや人気連載陣に「シン・ゴジラ」を読み解いてもらうキャンペーン「「シン・ゴジラ」、私はこう読む」を展開しています。
※この記事には映画「シン・ゴジラ」の内容に関する記述が含まれています。

 「シン・ゴジラ」、堪能した。

 IT記者として、これほど心躍る映画があったろうか。

 とにかく、緊急時の政府対応におけるITの描かれ方が、過剰とも思えるほどリアルなのである。政府内に会議体が立ち上がるたび、キャスター付きの複写機が大部屋にゴロゴロと運ばれ、仮設のネットワークが構築され、作業用PCの山が積まれる。

 使うPCも組織ごとに異なる。私の記憶が正しければ、内閣府の職員は富士通か米アップル、環境省はパナソニック「Let'snote」、陸上自衛隊は同じくパナソニックの耐衝撃PC「TOUGHBOOK」を使っていた。

 シン・ゴジラには、「ウルトラマン」に登場する「科学特捜隊」や、「新世紀エヴァンゲリオン」の「NERV(ネルフ)本部」とかのような、当時の技術水準からかけ離れた空想的ITの出番はどこにもない。

 劇中の年代は不明だが、「現実(ニッポン) 対 虚構(ゴジラ)」というテーマの通り、2016年現在のニッポンのリアルなITで、ゴジラに立ち向かっているのだ。

「世界各地のスパコンで分散して演算」は虚構なのか

 ただその中で一点だけ、やや空想が混じっているようなITのユースケースがあった。ストーリーの中で、スーパーコンピュータが重要な役割を果たしたことだ。

 ゴジラを凍結させる「ヤシオリ作戦」の実現可能性を検証するため、ゴジラが体内に持つ「元素変換細胞膜」の分子構造を解析する必要があった。

 だが、国内のスパコンでは、作戦日までに演算が間に合わない。そこで主人公らは、世界のスパコンセンターに演算の分担を依頼し、見事に演算を完了させた――というものだ。

 シン・ゴジラの庵野秀明総監督がかつて手掛けた新世紀エヴァンゲリオンの旧劇場版(1997年公開)では、元々は日本で開発されたスパコンに対し、その後世界各地に設置された同型のスパコンがサイバー攻撃を仕掛ける、というシーンがあった。シン・ゴジラでは、逆に世界各地のスパコンが日本を助けてくれる構図となっており、胸が熱くなる展開だ。

 とはいえ、わずかな期間のうちに分子構造解析のプログラムを用意し、世界各地のスパコンにデータを配布し、分散して演算する…といったことは、現実には可能なのだろうか。リアルを追究したシン・ゴジラだからこそ、ここはリアルに考察してみたい。

スパコン運用技術者に聞く「現実」とは

 シン・ゴジラの劇中では、日本のスパコンが構造解析のため演算している様が映し出される。筐体にあるのは「NEC」の名前と、どこかで見たことがある丸型のロゴマーク。おお、これは「地球シミュレータ」の3代目ではないか。

 地球シミュレータ――。あまり一般的には知られていない名前だろう。これは国産のスパコンで、初代は2002年3月に登場。世界のスパコンランキングで2年半にわたって首位を保ち、世界に衝撃を与えた。2015年4月からは、3代目となる地球シミュレータが稼働している。

 「世界各地のスパコン連携は本当に可能なのか?」を知るには、地球シミュレータを運用する海洋研究開発機構(JAMSTEC)に直接聞くほかなかろう。