
日経ビジネスオンラインでは、各界のキーパーソンや人気連載陣に「シン・ゴジラ」を読み解いてもらうキャンペーン「「シン・ゴジラ」、私はこう読む」を展開しています。
シン・ゴジラでは、「巨大不明生物特設災害対策本部」、通称「巨災対」というプロジェクトチームが中心になって、首都圏を破壊するゴジラの動きを止めるべく作戦を練り、実行します。未曾有の有事に東京、ひいては日本を守るべく組織された巨災対。このチームのマネジメントのあり方について、経営コンサルティング会社A.T.カーニー日本法人の梅澤高明会長は、プロジェクトチームを成功に導くための要件が描かれていると分析します。巨災対が持っていた、一大プロジェクトを成功させるために不可欠な要素とは何でしょうか。
(聞き手は日野 なおみ)
※この記事には映画「シン・ゴジラ」の内容に関する記述が含まれています。

映画「シン・ゴジラ」が大きな話題を集めています。
梅澤:私は公開直後に見に行ったのですが、何よりも「こんなに面白い邦画を久しぶりに見た」と驚きました。怪獣映画として面白いのではなくて、政治や行政、組織のあり方が半端ないリアリティで描かれている。
前半では官僚組織のダメな部分が次々に出てきます。官僚が「海中での害獣駆除は前例がないので分かりません」とあくまで前例主義を貫こうとしたり、危機的な状況なのに順送りで総理大臣の臨時代理が決まったり。
「省庁間の消極的権限争い」というキーワードも象徴的でしょう。ゴジラという巨大不明生物が東京を襲うという未曾有の有事の中で、誰もが責任を取りたくないから押し付け合う。そんな様子をうまく言い表しています。形式主義であったり、前例主義であったり。そういった部分がしっかりと描かれている。
ただ、私が注目したのはこうした前半のダメな部分のリアリティ以上に、後半の巨災対のあり方についてです。「巨大不明生物特設災害対策本部」、通称「巨災対」。これが組織されて以降は、危機対応における極めて理想的なオペレーションが展開されていきます。

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