お客さんは神様ではなく同士

山田:最近ある本で読んだのですが、クリエイティビティは、自然豊かな風景の中で、より刺激されるそうなんです。森や川、海や山をボーッと眺めているだけで脳が活性化される。

 納得したのは、ヨーロッパのハイブランドの工房は、みんな田舎にあるんです。そして独特の色合いが生まれたりする。都市よりも地方の方が、モノ作りのクリエイティビティを高める環境にあるのかもしれないですね。

吉國:理にかなっているのでしょうね。

中西:山田さんの本を読んで印象的だったのが、お客さんを“同志”ととらえていることです。なぜ、そう思うのでしょうか。

山田:一般的になじみがあるのは、「お客様は神様です」という表現かもしれません。

 けれど、僕はそれはちょっと違うんじゃないかなと思っています。神様の言うことだけを聞き続けた結果として、今の日本の産業の現状があるのかもしれませんから。

 僕の感覚としては、同じ目線で一緒に未来を見つめる仲間でありたい。売る側が上でも、買う側が上でもない。誰もが真剣勝負しなければいけない問題が、同じ地上に山積しているのですから。

中西:ありがとうございました。

山田敏夫氏の「ファクトリエ」の歩みをまとめた『<a href="https://amzn.to/2QN2Ebu" target="_blank">ものがたりのあるものづくり</a>』
山田敏夫氏の「ファクトリエ」の歩みをまとめた『ものがたりのあるものづくり

 アパレル業界の常識を根底から覆すものづくりに挑戦するブランド「ファクトリエ」。

 店舗なし、セールなし、生産工場を公開、価格は工場に決めてもらう――。これまでのアパレル業界のタブーを破って、日本のものづくりを根底から変えようとしている。

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■東京・銀座蔦谷書店
2019年1月15日(火)19時~ 「『ものがたりのあるものづくり ファクトリエの「服」革命』刊行記念 著者トークイベント」(店頭受付か電話受付03-3575-7755、もしくはリンク先からオンラインにてお申込みを受け付けております)
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