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自分がやりたくないことを人にさせない

山田:これからは、人口が100年で半減すると言われている時代です。そんな中では、売り上げを追うよりも、利益をきちんとつくる方向性でいくことは間違いないと思っています。作り手が7割に減ったとしても、減る前よりも利益が出るような収益構造にしていかないといけないし、それを目指します。吉國さんはいかがですか。

吉國:社員たちともよく話すんですけどね、やっぱり人々が今の形態のシャツを脱ぎ去った時代でも、必要とされる存在にならなければいけませんよね。

 10年後なのか20年後なのか、AI(人工知能)が今の延長で進化していくと、縫い目のないシャツを一瞬で仕上げるようなロボット技術が出てくるはずです。ボタンを押すだけでシャッ、と完成するような。

 そういうシーンまで想像しながら、自分たちがやるべきことを考えていこうねと話しています。

中西:代々受け継いだ技術をつなぐという発想にとらわれず、今の延長にはない未来を考えていくということですね。

山田:同感です。僕は工場の採用活動もボランティアでお手伝いしているんですが、つくづく思うのは、重労働を美徳化して、自分がやりたくないことを誰かにやらせようとするのってよくないなということです。

 寒い冬の朝にかじかんだ手でミシンを……なんて、自分がやりたくないことだったら、社員にもやらせちゃダメだと僕は思います。

 モノ作りの美徳って、決してそういうストイックなシーンにあるわけではなくて、もっとクリエイティブなことにあるはずです。

 人間にしかできない創造の力。だから僕は、工場の皆さんにもっと主導権を持ってもらって、オリジナル商品の開発をする楽しさを知ってほしいと思っているんです。

吉國:それが付加価値となって価格にも反映され、利益も確保できる。健全な経営体質にもつながっていくんですよね。これからはアートとクラフトとサイエンスがバランスよく交わったものづくりが、求められていくのだろうと思います。