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トップの熱意が教育を変える

 初等教育を担う京都の立命館小学校では「ファンクショナルバイリンガル教育」と呼ばれる、英語をツールとして使いこなすためのグローバル教育に力を入れています。

ファンクショナルバイリンガル教育を実践する立命館小学校

 普段の授業の充実ぶりはもちろんのこと、前回(「部下を職場に過剰適応させないのが、上司の仕事」)お話ししたAPUの「マルチカルチュラルウィーク」にも似た、「ワールドウィーク」というイベントや、小学生ながらに、2ヵ月の寮滞在などの留学制度も充実。世界をより身近に感じる工夫がこらされています。

 一方で、プロの陶芸家を呼んでお茶碗を作り、それを使って裏千家流のお茶を点てて家族にふるまうといった授業もあります。

 ただ日本の伝統を学ぶだけではなく、本物に触れさせる。海外に目を向けるだけではなく、日本をも見つめ直す。「ほぼ日」の糸井重里さんをお連れしたところ、「こんなにおもしろい小学校が日本にあるのか!」ととても喜ばれていました。

 立命館学園の小学校から中・高校までを見て思ったのは、やはり「組織を変えるのはトップだ」ということです。

 ユニークでいい教育をしている学校は、トップである校長先生が教育に対して強い情熱と使命感、信念を持っています。

 紹介した特徴のある教育方針は、じつは立命館学園全体の方針ではなく各校長先生の裁量によるところが大きいのです。それぞれの校長が、次世代を担う子どもたちにとって「いい教育」は何かと考え尽くし、実行に移した結果なのです。

 ほかにも小学校を卒業した子どもたちが進む立命館中高では、12年一貫の教育に取組んでいますし、滋賀県の立命館守山中高では、立命館大学の理工系学部と一緒になって、生徒を育てる高大連携を進めています。

立命館守山中・高校は、立命館大学の理工系学部との連携を進めている

 これは立命館学園にかぎった話ではありませんが、学校経営も企業と同じで、「適性のある人を見つけて任せることが全て」と言っていいでしょう。

 僕は、教育は「家庭」「学校」「地域」のトライアングルで回していくものだと考えています。

 その中で学校は、できるだけ多くの「人・本・旅」を与えるのが主な役割。立命館学園の附属校は、すべてこの「人・本・旅」を大切にしていると感心させられました。

 もちろん「人・本・旅」は、APUに来れば存分に経験できますよ。

 でも、あらゆる経験は若いに越したことはありません。若い頃に難解な本に立ち向かって挫折をしても、「一度はトライした」という経験になるし、グローバルに飛び出す経験だって、早いほうが吸収できるものが多いに決まっています。

 僕の大好きな漫画家のヤマザキマリさんは、14歳でヨーロッパ一人旅をしているのですから。