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学生同士で起こる化学反応

学生同士の間でも科学反応が起こるという

 話を戻すと、APUはこのようにユニークな学生が本領を発揮できる場です。日本の高校で窮屈さを感じていた学生も、APUに来ると自分を出せると言います。

 先日は、東京の有名私立一貫校(幼稚園から大学院まで)の幼稚園から高校までエスカレーターで進み、大学でAPUに進学した学生と話をする機会がありました。

 彼女に、「なんでエスカレーターから降りたんや」と聞いたところ、その一貫校が肌に合わなかったからだと言うのです。文化祭などで何かにチャレンジしようとすると「前例がない」「常識的な発想ではない」「お嬢さんがすることではない」などと、禁止ばかりだったそうです。

 そんな窮屈さがイヤでAPUに来てみたところ、何をやってもみんなが応援してくれるし、おもしろがってくれるし、協力してくれる。おかしな友人がたくさんいて、毎日が楽しいと笑っていました。

 その彼女はいま、グアテマラに水を送る運動をしています。寮で友達になった学生からグアテマラではきれいな水を飲めないという話を聞き、なんとかしたいと思い立ったそうです。これもすごい行動力ですね。

 APUは、このようにとがっていて一風変わった学生が集まりやすい環境だと思います。日本中に山ほどある大学の中から、わざわざ別府の「山の上」を選ぶという意思決定をする18歳が集まるわけですから。

 しかし当然ながら、はじめから意志の強い学生ばかりが集まるのではありません。先日開いた父母会で、大分の進学校から来た女子学生が行った発表を紹介しましょう。

 彼女は高校時代、やりたいこともなく、勉強することもなく、だらだらと過ごしていたそうです。すべてが中途半端で、最後までやり遂げたことは一つもなかったと。一言で言えば自分はクズでした、と。半分不登校のようでしたと。

 彼女は先生に勧められるままに受験した国立大学を落ち、第一志望ではなかったAPUに仕方なく入学しました。寮に入っても、はじめはやはりぐずぐずして引きこもっていた。

 ところが、たまたま出会った寮の先輩がとても前向きで素敵な人で、はっと目覚めた。その先輩のようになりたいと思い、自分で何か目標を決めて実行してみようと考えた。

 そもそも、その先輩はなぜ生き生きしているのだろう。そう不思議に思い聞いてみると、留学して広い世界を見たからだと教えてくれた。そこで彼女も留学を決意し、毎日英語を自主的に勉強して、留学を実現した。そしてようやく自分のやりたいことを見つけたとうれしそうに話していました。

 そんな化学反応が起こるのも、APUなんですね。

 APUには、ここに書き切れないくらいおもしろくてとがった教職員や学生がたくさんいます。APUの教育環境は、紛れもなく「人・本・旅」の「人」の部分を担っているのです。

 こうした「人」のユニークさや多様性に関しては、今後もっと積極的に発信して世の中に伝えていきたいと思っています。きっと「APUっておもしろいところだな」と、より感じてもらえるはずですから。

(構成/田中裕子)