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副業を認め、早く職場から追い出そう

 こうした「本」を読む塾や「人」や「旅」をキャリアに組み込む制度などによって、人の意識や姿勢は明らかに変わっていきました。積極的に本を読むようになったり、仕事以外の時間を意識的に持つようになったり、視野が広くなったり。「若者の海外旅行離れ」が叫ばれる中、ライフネット生命ではリフレッシュ休暇を使って多くの社員が海外に出かけていきました。 

 では、職場がそうした方針を採り、「人・本・旅」の経験を充実させることで、実際のパフォーマンスや業績はどれだけ上がるのか。

 現実問題として気になるところだと思いますが、正直、同じ会社や社員間での比較は不可能ですから正確に答えることはできません。

 しかし一般的に、人は賢くなればなるほど仕事もできるようになるはずです。アイデアは湧くし、不要な争いも起こらなくなる。ですから、「いい影響があった」と明言してもいいでしょう。

 大体、夜遅くまで職場で働き、上司や同僚とばかり飲みに行くような生活を続けていても、人間は成長できません。「仕事面でスキルアップできるじゃないか」と思うかもしれませんが、人間はどんどん「職場」に過剰適応していってしまうもの。スキルアップしているようで、実は職場に染まっただけの可能性も高いのです。

 だからこそ、部下を職場に過剰適応させないことは上司の役割でもあります。

 副業を認め、早く職場を追い出せば、みんな何かしらの新しい活動に取り組むはずです。ときどき「職場を早く追い出しても飲みに行くだけだ」と言う人もいますが、お金が続かないでしょう(笑)。

 もちろん頑張って飲み続ける人もいるでしょうが、少なく見積もっても半分ぐらいの人はきっと何かを始めます。割合的にはそれで十分です。それに、新しく何かを始めていきいきとしている人が周りに増えてきたら、はじめは飲んでばかりだった人も「自分も何かやってみようかな」と思うはず。人間は、影響を受けやすい動物なのです。

 いま僕は、「学生を育てる」立場にありますが、基本スタンスは「社員育成」と同じだと考えています。

 今後も、いろいろな制度やイベントなどを構築、活用しながら「人・本・旅」の場づくりを行っていくつもりです。興味のない学生には、いかに興味を抱かせるか。すでに興味がある学生には、どうすればチャンスをもっと与えられるか。学生が「人・本・旅」でより「賢く」なるために、全力でサポートしていこうと思っています。

(構成/田中裕子)