学長に就任して7カ月が過ぎ、APU(立命館アジア太平洋大学)も夏休みに入りました。いつもは様々な言語が飛び交う賑やかなキャンパスも、静まりかえっています。

 今年は大学の運動部に関するニュースが世間を騒がせたこともあり、改めて「大学経営」に興味を抱かれた皆さんが多いようです。

 僕自身、「実際、どうなの」といった質問を何度かもらいました。民間企業、それもベンチャー出身の僕から見た「大学経営」とはどんなものなのか、と。

 カルチャーショックがあったのか。APUといえども大学組織は硬直化しているのではないか。大学のマネジメントは民間企業とは違うのか――。

 せっかくですから、ここで一つずつ答えていきたいと思います。

 まず、カルチャーショックについては「特にありません」。

 もちろんベンチャー企業との「違い」は多々あります。でも世界は広く、いろいろな文化や風習、考え方があるのは当然のこと。ショックを受けることなど何もないのです。

 僕はどんな組織でも、どんな社会でも、新しい環境に飛び込んだら、周りをよく観察することから始めています。そして以前からそこにいる人にいろいろと教えてもらう。「変える」のは、その後の話なんですね。

 何より大切なのは、知ろうとする姿勢です。

 例えば大学の慣習に対して、鬼の首を取ったかのように「非合理的だ」「民間ではこんなことはありえない」と非難するのは簡単でしょう。しかし、じっくりと話を聞いてみると、その慣習が残っているそれなりの合理性、あるいは歴史的な経緯があるものなのです。一見おかしな伝統にも、それが始まったきっかけはどこかにある。

 「なぜこんなことをやっているのか」の背景にある歴史(経緯)や文化を理解することにこそ意味があり、同時におもしろさがあるのです。