学長直轄の3つのプロジェクト

 では、実際に、出口さんが学長になってから、APUはどのように変化しているか。一番の変化は、スピード感でしょう。

 大学運営が抱える問題の一つに、意思決定に時間がかかるということがあります。時間をかけ、持ち帰り、委員会をつくり、何回ともなく議論を重ね、「みんなで決める」ことを大事にしている。実はこれ、「私の責任で決めさせてもらいます」はなかなか言いにくい環境なんですね。

 しかし出口さんは違います。全員の意見を丁寧に聞き取りますが、それを踏まえて、意思決定してしまう。そのサイクルが非常に早いのです。

 出口さんにとっては当たり前のことかもしれません。時間的な制約があり、条件が整わない中でこそ、リーダーは判断を下さなければならないと考えているからです。けれど、これは大学の人間としてはちょっと衝撃的なことでした。

 教員も職員も、物事が決まるスピードに相当驚いたと思います。

 このスピーディな意思決定によって、就任から7カ月の間に、大きなプロジェクトが3つ立ち上がり、さらには「起業部(通称、出口塾)」もスタートしました。

 僕自身、今までにない「濃い」毎日でしたよ(笑)。

 これらのプロジェクトはすべてAPUの未来に必要なこと、APUが克服すべきこととして出口さんが提案したもので、それぞれ3人の副学長が担当して猛スピードで進めています。

<3つのプロジェクト>
  • 将来構想委員会
  • 国内学生の英語能力向上のための英語教育改革委員会
  • 海外体験100%を達成するための委員会

 お恥ずかしい話ですが、上記3つのプロジェクトは、僕もかねてから感じていた課題です。でも、着手できずに先送りしていた。

 そういった棚上げされていた問題、蓋をしていた問題に、改革者のアマチュアがガンガンと切り込んでいる状況です。

 出口さんが提起する問題は、非常に的確です。もっと言えば「正しい」。

 一般的に「正論」は嫌われがちですが、出口さんは自分が成果を出すためではなく「APUのため」というシンプルな気持ちが伝わってくる。だからこそみんな素直に聞けるし、必死でついていくのでしょう。

 しかも出口さんは、職員に対してこう言ってくれます。

 「ここを突破しなきゃと思ったら、『外部から来た、大学運営のことが分かっていない素人の学長がうるさく言うのですみません』と言えばいいですから。悪者にしてもいいので、存分に僕を使ってください」

 ここまで責任を取ってくれるトップは、なかなかいないと思いますよ。