(撮影:竹井俊晴)

「学長! マラウイに知り合い、いませんか?」

 ふらりと学長室を訪ねてきたのは、卒業を間近に控えた一人の学生でした。どうしたのかと尋ねると、卒業したら10年間、アフリカのマラウイに渡るつもりだと言うのです。

 大学2回生の時にマラウイに行って、人々の優しさやあたたかさに感銘を受けた。けれどもマラウイには主たる産業がなく、大変貧しい国だ。そこでマラウイで活動して、マラウイを盛り上げたい。そして年に3人、APUに学生を送るのが夢だ。「学長は顔が広いと聞きました。マラウイの経験者を紹介してほしいんです」。

 そういうことなら、とマラウイに住んだことがある知り合いを2人紹介したのですが、こんなおもしろい学生がたくさんいるのがAPUという大学――僕が学長を務めている、立命館アジア太平洋大学(APU)なのです。

 2018年1月から、僕はAPUの学長を務めています。

 正式に発表されたのは前年の11月でしたが、かねてより僕のことを知っている人はかなり驚かれたようです。

 なんといっても、2017年6月にライフネット生命の取締役から退任したとはいえ、45年近く携わってきた生命保険業界から、全く畑違いの教育界に飛び込んだのですから。それも、古希を過ぎたタイミングで。

 第一報が出た後、よく聞かれたのが「やっぱり教育界に興味があったんですか?」という質問でした。僕は若者向けの書籍を書いたり、講演活動をしてきたこともあって、「いつかは教育界に」と考えていたのだろう、と思われたんですね。

 しかし正直なところ……「いつかは教育界に」などとは、全く思っていませんでした。

 僕にとっては、新卒で日本生命に入社した時や、投資家の谷家衛さんに誘われてライフネット生命を創業することになった時と同じく、「大きな流れに身を任せた」だけだったのです。

 では、どんな「流れ」があったのか。ことのはじまりは昨年9月、ある人材紹介会社から送られてきた一通のメールでした。

2018年1月11日に初めて学長室にAPUの学生が訪ねてきてくれました