オリックスグループも、リース事業から始まって、世の中の動きに合わせて、事業を進化させてきました。外部環境の変化に応じて、その都度、新しいグランドデザインを描く。全社のグランドデザインは経営トップが作っていきますが、さまざまな部門の責任者もグランドデザインに合わせてその分野ごとに事業のデザインをしています。そのようにして全社で同じ方向に進むのです。グランドデザインは大きな方向付けで、トップからのメッセージとして伝えるのがいいと思います。もちろん常に見直しながら、柔軟性を持って調整することも欠かせません。

事業計画は参考資料

 企業にはさまざまなステークホルダー(利害関係者)がいます。例えば株主や投資家などは、グランドデザインより、もっと事業計画の具体的な成否の方に関心を寄せるでしょう。

 特に上場企業なら、IR(インベスター・リレーションズ)の担当部署は、株主や投資家を相手に業績や経営目標について説明し、納得してもらわなければなりません。企業はもちろん目標達成に向けて励んでいるわけであり、株主などの理解を深めることは大切なことではありますが、これが全てではありません。企業は株主をはじめとするステークホルダーと長期的な契約関係にあると考えると、現況の反応・反響のみを重視することはできません。企業経営で本当に大切なのは、その長期的方向性を示すグランドデザインです。

 私自身がこれを意識したのは、会社の設立時にまで遡ります。当時経営トップだった乾恒雄さんの基本的なポリシーとして、「多角化」「多国籍化」「パブリック」の3つがあり、それによって会社の方向性がよく分かりました。

 「多角化」はリースという単品商売に集中せず、事業の幅を広げること、「多国籍化」は日本でうまくいった事業を海外でも展開していくこと、「パブリック」は3商社5銀行の親会社による共同出資で設立されたベンチャー企業を上場させ、独立した公共的な組織にすることです。この3つは創業当時のグランドデザインであったと思います。そしてこの基本的なグランドデザインは今日に至るまで考え方が踏襲されており、オリックスの骨組みになっています。

新刊 『私のリーダー論 時代を切り開く10ヵ条

 社員を伸ばし、会社を成長させるリーダーの条件とは何か。社員13人で始まったオリックスを巨大企業グループに育てた宮内義彦氏が長く考え、自ら記したリーダー論を初公開。新規事業を生みだす。企業価値を高める。そしてイノベーションを起こすためにリーダーは日々、何を考え、どう実践するかを「10カ条」にまとめました。それらを丹念に読み、実行に移せば、リーダーシップは確実に磨かれることでしょう。企業の長期成長のあり方を示した『私の経営論』、そして中小・ベンチャー企業の成長の法則を説いた『私の中小企業論』に続くシリーズ完結作です。

 3部作の発売を記念し、限定の箱入り3冊セットを8月に発売予定です。

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