オモチャ国際ルールへの準拠はサンタも必須

 通商の観点でサンタの凄さは、「法規認証」「適合性評価」にこそある。

 「Santa Tracker」によれば、サンタクロースは必ずフィンランドのラップランドから出発し、妖精たちと用意したたくさんのオモチャを詰め込んだ大きな袋をトナカイのソリに載せて世界中を飛び回っている。すなわち、サンタのオモチャはフィンランドでの集中生産ということになる。

 世界中で使われるオモチャを子ども一人ひとりの「お願い」に沿って多品種生産し、問題なく出荷することがどれだけ大変か知っていただこう。

 なにより大変なのは、子どもに届けるオモチャが国際ルールに準拠しているかの確認だ。

 「サンタがそんな俗世のルールなど気にする必要ない」と思う方も、オモチャの国際ルールが定めている内容を見れば、無視できないことに気づくはずだ。

 子どもは弱者であり、製品に記載された注意事項の説明書きでは安全性を担保できない。そのため、国際ルールでは流通するオモチャに対し、以下のような項目で安全性を担保することを求めている。

 ① 物理的特性:誤飲・窒息・突き刺し・切創・転倒・閉じこめなどの危険がないか。

 ② 可燃特性:炎に曝したときに燃焼性が高く火炎事故につながる危険がないか。

 ③ 化学特性:オモチャが口に入ったときに化学物質が溶け出して健康被害がないか。

 この観点で満たすべきルールが、ISO(国際標準化機関)TC (Technical Committee) 181「Safety of Toys」が定めるISO 8124シリーズだ。

日本で販売されるオモチャに付けられている玩具安全マーク「STマーク」。(日本玩具協会ウェブページから)

 これは、1988年に欧州で制定された「玩具の安全性に関する指令(88/378/EEC: Toy Safety Directive。現在はDirective 2009/48/EC)」によって定められた欧州規格(EN 71 Safety of Toys)に基づくもので、欧州をはじめ主要国でのオモチャの流通ではこれを満たすことが必須となる。日本で販売されるオモチャに付けられている玩具安全マーク(STマーク)はこのISO 8124に準拠している。

 子どもから「お願い」されるオモチャが既製品であれば、それはメーカー側でクリアしていてくれるだろう、と高を括ってはいけない。

 例えば、近年中国で子どもたちに流行した「爪楊枝ボウガン」という既製品オモチャ。これは、オモチャと呼ぶには強すぎる貫通力を持つうえ、製品によってはクギも装填できる危険極まりないもの。現在では中国でも規制の動きがあるが、この「爪楊枝ボウガン」は中国では一定量が市場に出回っている。世界中のどこかで子どもがこれを欲しがったからと言って、サンタは軽々に枕元に置いてはいけない。

 サンタも一つ一つのオモチャをテストユース(お試し遊び)している余裕はないだろうから、安心なのは国際ルールへの準拠だ。