経済の活性化につながると期待される自由貿易協定(FTA)。だが日本企業のFTA使用率は、実に5割を下回る。経済産業大臣やTPP担当大臣として、FTAの締結に尽力した衆議院議員の甘利明氏に、日本が抱える問題点について聞いた。日本企業はどのようにFTAを活用すればいいのか。そしてFTAの有効活用が日本経済に与えるインパクトとは。

FTAの締結に尽力した衆議院議員の甘利明氏(写真:竹井俊晴、ほかも同じ)

――『稼げるFTA大全』では、日本企業による自由貿易協定(FTA)活用の実態を紹介しています。日本企業のFTA使用率は実に45%と低い。FTA締結の立役者である甘利議員は、現状をどう評価していますか。

甘利議員(以下、甘利):政治家は、FTAなどの協定が締結されれば、自動的にみんながそれを使うようになるんだと思っています。それが、実際の使用率は45%でしょう。いかに我々の努力が報われていないか……。

 どんなにいい仕組みをつくっても、誰も使わなかったら、それは存在しないのと同じです。

 我々はFTAや経済連携協定(EPA)を結ぶことに全力を投入してきました。何とか調印にこぎ着けたら「ああ終わった、よかった」と安心していたわけです。けれど実態は、まだ半分くらいしか仕事が終わっていなかった、ということですね。

 サインをして道半ば。国会が通ってプラス1割。本当の仕事は、それから実際に使ってもらうために、どうしていくかということです。

――日本企業がもっとFTAを活用するようになるには、何が必要でしょうか。

甘利:大手企業はスタッフもそろっているし、専門家もいるはずです。だから国がFTAを締結すれば、自動的に関税が安くなると思っている人は少ないはずです。

 けれど一般の人は、国がFTAを締結したら、自動的に関税が安くなるんだという認識がほとんどなのではないでしょうか。『稼げるFTA大全』でも紹介されている通り、それぞれの企業が意思をもって「FTAを活用しよう」と動かなければ、関税ダウンの恩恵は受けられない。まだまだ活用方法についての情報が十分に行き渡っていないのでしょうね。

 ですから今後は、FTAやEPAを締結したら、同時に経済団体や中小企業組合団体を通じて、その意義や使い方を徹底的に宣伝しないといけない。せっかくいいことをやっているのに、誰も使わなかったら、それは存在しないのと一緒です。

 『稼げるFTA大全』を読んで、改めて危機感を募らせました。

 当コラムの執筆者の書き下ろし書籍『稼げるFTA大全』が発売しました。

 TPP11や日本EU・EPA(経済連携協定)。2019年には大規模FTA(自由貿易協定)が相次ぎ発効される見通しです。けれど、果たしてこれらの動きが、日本の企業にどんな影響を与えるのか、十分に理解している経営者やビジネスパーソンは少ないのではないでしょうか。

 本書で指摘しているように、「関税3%は法人税30%に相当」します。仮に、これまで輸出入でかかっていた関税がゼロになれば、それを活用するだけで、昨日と同じビジネスを続けていても、ザクザクと利益を生み出すことができるのです。ほかにも、海外企業のM&Aがよりやりやすくなったり、各国GDPの10~15%を占める「政府調達」に入札しやすくなったりするなど、FTAを活用することで、ビジネスチャンスはぐんと広がります。

 同時に、FTAのルールをきちんと守れていなければ、税関当局の指摘を受けてしまい、サプライチェーンが止まるという甚大な被害を受けることもあります。

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