日本政府がリードしてきた模倣品対策の国際ルール

 模倣品の封じ込めに対しては、日本企業よりも政府の通商政策のほうがアグレッシブだったかもしれない。

 偽ブランド品や海賊版ソフトなどの流通規制を強化するための多国間協定「ACTA:Anti-Counterfeiting Trade Agreement(偽造品の取引の防止に関する協定)」は、2005年に日本が提唱したもの。2008年に日米など8カ国が署名した後、多くのEU加盟国が加わり31カ国が署名した。模倣品や海賊版について、各国が輸入時だけでなく輸出時も税関で取り締まることを柱とする内容で、商標ラベルの模倣を取り締まる義務も定めた。

 署名後、6カ国が国内批准することで発効することになっていたACTAだが、2012年にEU議会がこれを否決したことで座礁に乗り上げた。EUでの否決の理由は、この協定がインターネットの検閲や、言論の自由、表現の自由、個人情報保護といった基本的人権に対するリスクになり得るというものだ。

 だがその後、ネット上の権利や個人情報の扱いについて国際的な議論が成熟してきたことで、商標権や著作権の保護についてACTAで取り決めた内容を上回る水準の国際的な知的財産ルールが実現することになった。

 それがTPP(環太平洋経済連携協定)だ。

 来る3月8日に11カ国で署名する「TPP11」協定では、例えば「著作権や商標の侵害に対する損害賠償の義務化」など、ACTA以上の厳しいルールが導入されている。

 アメリカのトランプ政権が離脱した後、TPPを再度実現させるリードをしたのは日本だ。この推進力には、日本のブランドやコンテンツの保護に対する政府の使命感もあった。

今後は「真贋判定」のテクノロジーに注目

 いま世界が注目しているのは模倣品対策のための「真贋判定」技術だ。

 「罰則」や「訴訟」「賠償」はあくまでも、被害が起きた後の対応。本当に必要なのは模倣品による被害が出ないようにするための手立てだ。そのためには「ホンモノ」と「ニセモノ」を見分けることが必要となる。

 このためのテクノロジー開発が、ハイテクメーカーを中心に加速している。

 技術的な特徴で分類すると、主に「物体認証」によるものと「特殊ラベル」によるものに分けられる。

 前者の例は、富士ゼロックスによる表面パターン認証技術だ。商品の物体表面に現れる固有のパターンが、登録された正規品のものと同様かをスマートフォンによる画像認識により識別できる。後者の例としては、キヤノンや凸版印刷によるRFID(無線自動識別技術)やホログラムを活用したソリューションが挙げられる。

 これら技術を取り入れたがっているのがECサイトだ。自社のショッピングサイトで流通している商品の真贋判定ができれば、消費者に安心を与えることができる。

 今後はこれら模倣品対策テクノロジーに関する規格化や税関ルールとの連携が進むだろう。