他にも、ホンダ(HONDA)のオートバイに似たデザインの「HONTO」など、よく見れば真贋が判別ついたとしても消費者に誤認させる模倣品が中国から多く生み出されている。

■【中国でのHONDAの模倣品(商標権侵害)の例】

 また、海外企業の商標を先んじて中国企業が現地で登録してしまうこともあり、日本のブランドが被害者となるケースも多く見られる。

■【中国におけるYONEXの冒認出願の例】

ヨネックス(株)の商標
©YONEX
中国において第三者により出願された商標

 「2020年までに知的財産強国を構築する」とする国家知的財産権戦略綱要(2008年)の策定から今年はちょうど10年目。中国による知的財産の侵害はいまだ減らない。

 アメリカのトランプ政権が保護主義政策でグローバルリーダーシップを喪失している機に、「一帯一路」構想などで各国からの求心力を高めようとしている中国政府は、今この不名誉な「知財侵害国家」のレッテルをなんとかして取り除きたいと考えている。

 まずは外国からの評価を上げなくては──。そう考えた中国政府は2017年9月から12月にかけて、外資ブランドの保護のための集中的な模倣品摘発キャンペーン(外商投資企業知的財産権保護行動計画)を実施した。アメリカとの共同摘発なども実施し、例えば広州税関では2017年に「アディダス」や「アルマーニ」などの偽ブランド品(商標権侵害)を含む権利侵害貨物131万点以上を摘発した。

中国「インターネット裁判所」設立の狙い

 徹底的な対策をすると決めた中国政府の打ち手は早い。外国企業へのアピールのみならず、いま横行している模倣品の温床であるEC(電子商取引)にも切り込んでいる。

 2017年8月、中国杭州で「杭州インターネット裁判所」(杭州互联网法院)が設立された。この裁判所で争われるのは、ネットでの売買や決済に関するトラブルだ。具体的には、EC(電子商取引)で取引された商品の製造物責任やドメイン名、そしてネット上の著作権や人格権、商標権に関する訴訟を扱う。

 「杭州インターネット裁判所」の最大の特徴は、なんと訴訟プロセスがすべてネットで行われることだ。提訴、受理、送達、訴訟前調停、挙証、質疑、予備審理、開廷審理、判決、執行のすべてがネット上で行われる。

「杭州インターネット裁判所」(杭州互联网法院)のウェブページ(http://www.netcourt.gov.cn/

 たとえばネットショッピングで「偽物」を掴まされた場合。購入者は専用アプリを開き、公安当局と連携した顔認証システムで身元確認を行い、規定のフォーマットに記入して提訴する。立件後はシステムが自動的にECプラットフォームのオーダーシートにアクセスして証拠を確保。プロセスが進むとテレビ会議のような開廷審理を経て判決となる。もちろん費用の納付は支付宝(アリペイ)や微信支付(ウィチャットペイ)で可能だ。