新しい時代の独禁法の必要性

 これまではひとつの企業の力が強くなりすぎて、公正な競争状態が保たれなかったり、不公正な行動をとったりすることを防ぐために、独禁法や米の反トラスト法などの法律で抑止していました。

 今の時代で大きな力を持つのは、富ではなくて、データを持っている企業です。本業でひとつの巨大なデータベースを築き上げた企業は、水平統合や垂直統合によって、自社アセット化した事業もそのデータを利用すると成功しやすい。そのようなインターネットビジネスのコングロマリットはより成長に拍車がかかるわけですが、一方でデータ搾取が行われないよう抑止する必要があると思います。

 だから欧州のGDPRのような個人データについての新しい法律を整備していかないと、ひとつの企業にすべての情報を握られるだけではなく、自由競争を阻害する懸念があります。さらに情報を濫用されてユーザーが不利益を被った場合も、責任を取ってもらえない可能性がある。そこについては、今後AIがビッグデータと組み合わさり、高度に複合化していく前に整備することが必要だと思われます。

(後編に続く)

小林弘人(こばやし・ひろと)
株式会社インフォバーン代表取締役ファウンダーCVO。1994年ワイアード誌の日本版を創刊、編集長を務める。1998年に企業のデジタルマーケティング戦略およびイノベーションを支援するインフォバーン社を設立。『ギズモード・ジャパン』ほか多くのウェブ媒体やサービスの立ち上げを行う。ベルリン最大のテック・カンファレンスTOAの公式パートナーほか、イスラエル・ブロックチェーン協会のアドバイザーを務める。著書に『メディア化する企業はなぜ強いのか? フリー、シェア、ソーシャルで利益をあげる新常識』(技術評論社)など。

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