メリットの原則

 新しいアイデアを信頼させる決め手は、親近感だけではありません。「ピンと来た」あと、つまりカリフォルニアロールの原則を受け入れたあと、次に超えるべきハードルは「自分の得になるか?」。つまりメリットの原則です。

 人はアイデアが人生をより良いものにしてくれるかどうかを計算したうえで、信頼するかどうかを決めます。というと当たり前に思えますが、ここに重要なポイントがあります。わたしたちは新しいものを理解しなければ、その発明を使う気にならないという点です。だからといって、テクノロジーがどう機能するかを正確に理解しなければ使わないというわけではありません。大昔の燃焼機関であっても、今のブロックチェーンであっても同じです。それが何を可能にして、何を与えてくれるのかがわからないと、使う気にならないということです。その溝が埋まるまでは、既存のものを捨てようとは思わないのです。

 だからといって、信頼を築くのに完璧を約束する必要はありません。実際、100パーセントの確実性を保証するほうが災厄のもとになります。マリオットやヒルトンといった有名ホテルよりエアビーアンドビーを利用するかどうか、または自動運転車を信頼するかどうかを判断する際に、人はいつもある側面についてのメリットとデメリットを考えています。それは価値と確実性です。判断の対象が何であっても、自問することは基本的に同じです。この体験は自分の人生に価値をもたらすか? なぜその価値が確かだと言えるのか?

インフルエンサーの原則

 新しいアイデアを信頼してもらう際、特に結果が見えないときには、社会的証明が役に立つことは間違いありません。サイトのレビュー数やユーザー数を大々的に宣伝するのはそのためです。今の時代に人を説得するには、たとえばフェイスブックの「いいね!」の数にしろ、五つ星の評価にしろ、ツイッターやインスタグラムのフォロワー数にしろ、大きな数を見せるのがもっとも効果的だと思われています。

 しかし、社会的証明を得てそこから信頼を生み出すには、巨大な群衆が必要というわけではありません。独特な影響力を持つ少数の個人の集まり(インフルエンサー)から、社会的証明と信頼が生まれることもあります。立派な肩書を持つ人でなくても、有名人や高名な専門家でなくても、影響力を持つことはできます。

次ページ 3つの原則に基づく強力な信頼プロセス