2016年7月10日に実施される参議院選挙で、初めて10代が選挙権を得る。18歳、19歳の彼らは、選挙権を得たことをどう考え、どう行動するのか。新しい「有権者」の今を探る。
撮影:皆木 優子

 18歳以上の選挙権は、かねて気になっていました。先進国の国際的なスタンダードは18歳と聞いていましたし、日本でもそうなればいいな、と。

 社会を変えようと思っても、大きな行動に打って出るのはなかなか難しい。その点、投票すること自体は、ある意味とても簡単です。考えをまとめることさえできれば、投票所に行くだけで、政治や社会に関わることができるのですから。

 とはいえ、選挙権を得ることが分かってからは、自分の1票で何か変わるのだろうかと考えるようになりました。1つだけ分かったことは、社会は変えられなかったとしても、こうして自分が変わった、ということです。自分の身の周りのこと、政治のこと、前よりずっと考えるようになりました。

 周りの友人とは政治とか宗教の話はしないですね。みんな興味がなさそうに見えるので、少なくとも僕から話すことはしません。下手すると「ヤバいやつ」と思われそうで。

 僕は生後9カ月で乳児院に入り、その後一度家族の元に戻りましたが、高校生のときからまた児童養護施設に入りました。そうした状況で育ってきたので、国の政策がダイレクトに感じられることもあります。

 例えば、5月に成立した児童福祉法の改正は、注目をしていました。僕と同じような環境にいる若い人たちにとってプラスになるといいなと思っています。

 今回の選挙についても、奨学金制度など若者支援や教育などの政策については、注意深く見たいと思っています。財源をどのような制度にどのように割り振るか。それが特に、若い人たちへの助けになるかどうか。今回の選挙だけでなく、今後もずっとそれは気になると思います。

 同い年の人たちにも是非選挙に行ってほしいと思うし、身の回りのことから考えてみれば、意外に投票することは簡単だと思います。

 趣味は映画鑑賞です。最近観て感動したのは「アリスのままで STILL ALICE」です。若年性アルツハイマーを発症し、徐々に記憶がなくなっていく女性を描いた映画で、彼女の葛藤と生きる強さに感動しました。

 家族とは絶縁状態で、僕には「帰る家」がありません。でも、その分日々友人に助けられて生きています。悩みを相談すると、「泊まりに来なよ」と言ってくれる友達が僕にはいます。

(構成:染原 睦美)