2016年7月10日に実施される参議院選挙で、初めて10代が選挙権を得る。18歳、19歳の彼らは、選挙権を得たことをどう考え、どう行動するのか。新しい「有権者」の今を探る。
(撮影:的野 弘路)

 10代で選挙権を持てるということを知った時は、複雑な気持ちでした。期待と無関心と不安の中で揺らぎました。若い僕たちが、この選挙で意思を表明することができれば、日本を少しでも良くできるかもしれない。当然、そうした期待がわき上がりました。

 同時に、僕の1票で変えられるコトなんてあるのだろうかという不安もあります。もし自分の考えがまだ浅く、間違っていても、それが力を持って暴走する場合だってある。だったら無関心のままでいた方が世の中のためになるのではないか。そんな相反する気持ちの中で行ったり来たりしていました。

 ただ、当然行動しなければ事態は平行線、もしくは、悪化するだけです。であれば、やはり「行かなきゃだよな」と今は思っています。

 参院選当日は家族で行くと思います。実家に住んでいるのと、家族が結構仲良しなので。昔から、両親にも何となく投票所に連れて行かれていましたね。

 僕らが選挙権を持てると聞いて以降、少しずつ怖さのようなものも感じ始めています。情報の入手の仕方が偏っているからです。例えば、僕らの世代はインターネットのリテラシーが高いと言われますが、ネットリテラシーが高いのと、情報リテラシーが高いのはまた別だと思っています。

 信じられる大人と話したり、文献を読んだりはせずに、掲示板やTwitterの情報を鵜呑みにする人も多い。でも、自分たち自身では“情報強者”と自信を持っている節もある。ネットに親しんでいて慣れているがゆえにけがをしやすいとも思います。そのあたりは自戒も込めて気をつけたいと思っています。

 テレビはどうかというと、それはそれで多大な影響を受けています。流行とか、そういったものはテレビから仕入れている人が多い。結局は、ネットにあふれている情報は、テレビ報道の焼き増しみたいなところもありますし。

 そのテレビの情報がどれだけ正しいかも分からなくなっている今、非常に狭いコミュニティで日々を過ごしている僕たち学生が、どれだけ信頼できる情報を基に自分の判断ができるか。簡単なことではないと思います。有権者になるということは、責任を持つことで、適当ではいられなくなってきたなと思っています。

 友人とは選挙や政治の話をすることもあります。ギャグというかシャレのような話ですが、ネタとしてでも、「戦争」とか「兵隊」という言葉が会話に出てくることは、以前ならなかったと思います。この前、友人とした会話をちょっと思い出してみます。

:「あー、20年後とかに兵隊になってそうでこえー…」
友人:「まあでも俺、足けがしてるから、逃れられるかもなあ。選挙で、どこ入れても何も変わらない気もするよな~。あとさ、舛添辞める必要なかったよな」
:「それな(*1)。都知事としてちゃんと仕事してくれれば、少しくらい贅沢してもいいよなあ」
友人:「わかる」
:「『こいつ叩けるな』って国民に思われたらもうおしまいだよな」
友人:「確かに…あーこれからどうなるんだろうな日本」
:「わかんねー自民党こえー。けど共産党だけはねーわ」
友人:「てか、共産党の代表のポスター、なんでCCレモン(*2)の「タメ」のポーズしてるんだろうな」
:「若者に媚び売ってるんじゃん?」

*1 そうだな、の意
*2 小学生の間で2000年初頭以降流行した手遊び「CCレモンゲーム」のこと。共産党の代表のポスターのポーズが、その遊びで用いる「溜め」のポーズと同じと一部で話題

 今の政治が「なんだかまずそうだ」ということは分かっているんです。でも、対抗策も思いつかなければ、どの人が今の政治を変えてくれるのかも分からない。そんな状況で、選挙権を得るわけですから、難しい選択を迫られていますよね。

 好きな食べ物は、ラーメン、とんかつ、オムライス。好きな場所は、廃墟や危険なところ、床がギトギトのラーメン屋です。在学中に起業するつもりで、今のところは企業への就職は考えていません。

(構成:染原 睦美)